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 「悪人」吉田修一
評価:
吉田 修一
朝日新聞社
¥ 1,890
(2007-04-06)
Amazonランキング: 500位

なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう――携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。再び彼は別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか? 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。一つの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描いた渾身の傑作長編。
吉田修一が犯罪小説を書いたというのは気になっていたのだけど、なかなか読む機会がなかったのですが、映画化を機に読んでみる。

すごく重厚な物語だった。冒頭に、殺人で一人の男が逮捕された事が語られていて、そこから、色んな人の視点を経て、一つの事件を追っていく構成。複数の登場人物の視点があるからこそ、この人の方がよっぽど悪人じゃないか!と思う人物が多い。一人の人間は、誰かにとっては善人であっても、別の誰かにとっては悪人にもなるのだ、そんな事を漠然と思った。

祐一と光代の逃避行は切ない。祐一はもっと早く光代と出会っていれば良かったというが、本当にその通りで、色々な物事の起こる順番が違っていたら、こんな事にはならなかったかもしれないのにと思ってしまう。最後に祐一が光代にした行動も、祐一の気持ちを考えると切ない。

殺された佳乃の父親である佳男は、大切な者がいないから、自分は失うものがないのだと何でも出来る気になっているというような台詞と、光代の大切なものが出来たから、自分は何でも出来るのだと思ったという台詞(手元に本がないので、ちょっとうろ覚え…)が、対照的だなあと思う。果たしてどちらが本当なのだろうかと考えてしまう。人によって考えは違うのだろうけど、一番印象に残るシーンだった。
| 2010.09.09 Thursday | 作家別・や行(吉田修一) | comments(0) | trackbacks(0) |
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