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 「白銀の墟 玄の月」小野不由美

戴国に麒麟が還る。王は何処へ―乍驍宗が登極から半年で消息を絶ち、泰麒も姿を消した。王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。案じる将軍李斎は慶国景王、雁国延王の助力を得て、泰麒を連れ戻すことが叶う。今、故国に戻った麒麟は無垢に願う、「王は、御無事」と。―白雉は落ちていない。一縷の望みを携え、無窮の旅が始まる!

新作は全4巻。時系列的には魔性の子と黄昏の岸 暁の天からそのまま続いていて戴を救うために国に戻った泰麒と李斎が驍宗を探す物語。1,2巻は近付く戴の冬に国民も李斎たちもじりじりする感じで3巻からどんどん話が展開していってそこからは夢中だった。驍宗は生きているのか、阿選は何故簒奪しようとしたのか、色々と序盤は謎が多い話だった。

驍宗って私のイメージではプライド高くて自分がこうだと思ったらどんどん押し進める人って感じなんだけどそれも間違ってないんだなと思った。でも驍宗はそんな自分が分かっていて、違うタイプの人を要職に置いたり決して民の事をないがしろにしているわけではなく民の事を考えて行動して、そこが王の器なんだなと思った。民を想い、民に想われているからこそ奇跡が起こって命が繋がったのだなと感動した。でも驍宗のサバイバル描写読んでいると6年も1人で生き抜いていてもう誰もこの人を殺せないだろと強く思った。阿選も自分の部下には手を汚す事はないと思っていたりしてそれなりに大事に思ってはいたはずなのに最終的には一線を越えてしまったのが読んでいて悲しかったな。

私は恵棟が好きだなと思ったので3巻の終わりの恵棟が誰が王であるべきなのかを泰麒に語る所が好き。そして4巻の展開で絶望した。ワンチャンないのかな。来年の短編では細かい戴の様子が知りたいな。ラストの一文で凄く泣けて、ちょっとした文で泣ける小説も中々ないよな。泣きました。新しい元号の文字に驍宗は自分の命を繋いでくれた民への感謝を忘れないんだなと思えた。

| 2019.12.16 Monday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「黄昏の岸 暁の天」小野不由美
評価:
小野 不由美
新潮社
¥ 781
(2014-03-28)
Amazonランキング: 395位

王と麒麟が還らぬ国。その命運は!? 驍宗(ぎようそう)が玉座に就いて半年、戴国(たいこく)は疾風の勢いで再興に向かった。しかし、文州(ぶんしゆう)の反乱鎮圧に赴(おもむ)いたまま王は戻らず。ようやく届いた悲報に衝撃を受けた泰麒(たいき)もまた忽然(こつぜん)と姿を消した。王と麒麟を失い荒廃する国を案じる女将軍は、援護を求めて慶国を訪れるのだが、王が国境を越えれば天の摂理に触れる世界──景王陽子が希望に導くことはできるのか。

魔性の子の対みたいな話で泰麒が蓬莱から十二国に戻るまでのストーリー。王が行方不明になり泰麒もいなくなってしまった戴の国は荒れていた。王は死んだといわれるが生存を信じる李斎が謀叛の疑いをかけられたために追われながらも戴から慶に渡り陽子に助けを求める事から始まるストーリー。

各国の王や麒麟が泰麒を助ける為に行動していてクライマックスのようだった。戴で起こった事も謎が多いし何より驍宗は生きているのかが気になる。陽子の所に鈴たちがいて変わらずやっているのが分かって安心したのと最後の方で陽子の部下がどうして戴を助ける為に行動する陽子を止めなかったのかについて語るシーンが好き。その人の行動や言動で信頼するかどうか助けてあげたいと思うかどうか判断できるみたいな所。

| 2019.12.10 Tuesday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「華胥の幽夢」小野不由美
評価:
小野 不由美
新潮社
¥ 649
(2013-12-24)
Amazonランキング: 374位

王は夢を叶えてくれるはず。だが。才国の宝重である華胥華朶を枕辺に眠れば、理想の国を夢に見せてくれるという。しかし采麟は病に伏した。麒麟が斃れることは国の終焉を意味するが、才国の命運は―「華胥」。雪深い戴国の王・驍宗が、泰麒を旅立たせ、見せた世界は―「冬栄」。そして、景王陽子が楽俊への手紙に認めた希いとは―「書簡」ほか、王の理想を描く全5編。「十二国記」完全版・Episode 7。

短編集。今までの話のその後から新作に繋がる話、新しくメインとして語られる国があったりとお得感ある短編集だった。シリアスから少し軽い気持ちで読めるものまであったかな。

「冬栄」は戴の話だけど、この裏側で起こってた事とか知ると泰麒は微笑ましいけどそれだけでは読めない気持ちになる。「華胥」はミステリ調でもあったし才の王の決断とかその最期の言葉とか印象に残って、明るい話じゃないけど好きな話だった。

| 2019.12.08 Sunday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「図南の翼」小野不由美
評価:
小野 不由美
新潮社
¥ 737
(2013-09-28)
Amazonランキング: 561位

この国の王になるのは、あたし! 恭国(きようこく)は先王が斃(たお)れて27年、王不在のまま治安は乱れ、妖魔までも徘徊(はいかい)していた。首都連檣(れんしよう)に住む少女珠晶(しゆしよう)は豪商の父のもと、なに不自由ない暮らしと教育を与えられ、闊達な娘に育つ。だが、混迷深まる国を憂えた珠晶はついに決断する。「大人が行かないのなら、あたしが蓬山(ほうざん)を目指す」と──12歳の少女は、神獣麒麟(きりん)によって、王として選ばれるのか。

王が死に、20年以上新しい王がいない恭国で12歳の少女が自ら王になろうと昇山する様子を描くロードノベル。珠晶のキャラが痛快で面白いけど主張する所には子供だなあと思う部分もあり絶妙なキャラクターだと思った。一緒に昇山する人たちと接する事で少しずつ成長していくのも良かった。頑丘がその後臣下になったのかどうか気になるな。過去作に出てきた更夜がまさかのポジションで出てきたのも驚きだった。六太と会ったりしていたらいいなあとか思った。

| 2019.12.06 Friday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「丕緒の鳥」小野不由美
評価:
小野 不由美
新潮社
¥ 649
(2013-06-26)
Amazonランキング: 387位

「希望」を信じて、男は覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか―表題作ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。

「丕緒の鳥」「落照の獄」「青条の蘭」「風信」

新作を読む為に十二国記の読んでいない本を一気読みし始めました。途中まで読んでいたけど一気に読んだ方がキャラクターや時代の流れが分かりやすかっただろうなと思った。この本は短編集。色んな国が舞台になっているので読み応えあった。あと自分が初めて読んだ十二国記が丕緒の鳥だったから改めて読むと感慨深いものがあった。あの時はよく分からなかった事が分かるので楽しい。

今まで出てきた王や麒麟たちというより、一般に近い人たちが主人公だからこそキャラクターやその行動が泥臭かったり地道だったりするんだけど印象に残るのかなと思った。ここでも乱れつつあるのを描写されている柳の国が気になった。

| 2019.11.28 Thursday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「営繕かるかや怪異譚 その弐」小野不由美
評価:
小野 不由美
KADOKAWA
¥ 1,424
(2019-07-31)
Amazonランキング: 4118位

かつて花街だった古い町の実家に戻ってきた貴樹。書斎として定めた部屋の鏡を何気なくずらしてみると、芸妓のような女が見えた。徐々にその女から目が離せなくなり…。(「芙蓉忌」より)。佐代は『通りゃんせ』の歌が嫌だ。子供のころ、夕暮れの闇が迫る中、怖いのを我慢して神社への石畳の道を走っていると、袴を穿いた鬼に出会い―。(「関守」より)。三毛猫の小春は交通事故で死んでしまった。あるとき息子が裏の古い空家から小春の声がするという。得体の知れない「何か」は徐々に迫ってきて―。(「まつとし聞かば」より)。住居にまつわる怪異や障りを、営繕屋・尾端が、いとも鮮やかに修繕し、解決へと導く―極上のエンターテインメント。

シリーズ2作目。1冊目と同じ形式なんだけど、今回は後味悪いバッドエンド系もあったりしてバリエーション豊かに思えた。ホラー味の強い最初の話が印象に残った。原因の家を修繕しても怪異は新しいパターンで影響を与えてきているし、この後忘れるとかも出来なさそうだし主人公は弟と同じ事にしかならないだろうなと予想出来るのが怖かった。まつとし聞かばが話としては好き。航が健気で良い子で好きだった。

| 2019.09.30 Monday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「風の万里 黎明の空」小野不由美
評価:
小野 不由美
新潮社
¥ 680
(2013-03-28)
Amazonランキング: 761位

人は、自分の悲しみのために涙する。陽子は、慶国の玉座に就きながらも役割を果たせず、女王ゆえ信頼を得られぬ己に苦悩していた。祥瓊(しょうけい)は、芳国(ほうこく)国王である父が簒奪者(さんだつしゃ)に殺され、平穏な暮らしを失くし哭(な)いていた。そして鈴は、蓬莱(ほうらい)から辿り着いた才国(さいこく)で、苦行を強いられ泣いていた。それぞれの苦難(くるしみ)を負う少女たちは、葛藤と嫉妬と羨望を抱きながらも幸福(しあわせ)を信じて歩き出すのだが──。

景王となった陽子の話を聞き、彼女に会いたいと思った鈴と祥瓊の2人の少女。別の国にいた3人の少女が合流し、それぞれの心にあるものを昇華していくまでの話。上巻では鈴も祥瓊も陽子に憎しみを持っていて、どうなってしまうのかと思ったけど、それぞれ転機になる人との出会いがあり、変わっていけたのが良かった。陽子も王として自分はどうあるべきかに悩んでいたけど答えを見つけ出してからの初勅のシーンが凄く良かった。自分もそうありたいなと思わせてくれるし、これから国がどう変化していくのか明るい希望も感じられて好きな場面。

| 2019.09.27 Friday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「営繕かるかや怪異譚」小野不由美

叔母から受け継いだ町屋に一人暮らす祥子。まったく使わない奥座敷の襖が、何度閉めても開いている(「奥庭より)」。古色蒼然とした武家屋敷。同居する母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」(「屋根裏に」)。ある雨の日、鈴の音とともに袋小路に佇んでいたのは、黒い和服の女。あれも、いない人?(「雨の鈴」)。人気絶頂の著者が存分に腕をふるった、じわじわくる恐怖、極上のエンタテインメント小説。

家に纏わる怪異の話。怪異を払うとかではなく、なるべく共存できるように家を変えていくというのが面白かった。自分だったら怪異が起こったら怖くて住めない気がするけど経済的事情で簡単に動けない人たちもいるしこういう方法もあるんだなと思えた。

| 2019.07.31 Wednesday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「東の海神 西の滄海」小野不由美
評価:
小野 不由美
新潮社
¥ 637
(2012-12-24)
Amazonランキング: 25023位

延王尚隆と延麒六太が誓約を交わし、雁国に新王が即位して二十年。先王の圧政で荒廃した国は平穏を取り戻しつつある。そんな折、尚隆の政策に異を唱える者が、六太を拉致し謀反を起こす。望みは国家の平和か玉座の簒奪か―二人の男の理想は、はたしてどちらが民を安寧に導くのか。そして、血の穢れを忌み嫌う麒麟を巻き込んた争乱の行方は。

延王・尚隆と延麒・六太の話。国が荒廃した後に新しく王になった尚隆。少しずつ良くなっていく国だけど尚隆のやり方に異を唱え六太を拉致して謀反を起こそうとする斡由が現れる。王とはどんなあり方でいるべきかみたいな話かな。のらりくらりしている尚隆と、言っている事は立派だけど自分の事しか考えない斡由のキャラは分かりやすいんだけど普通にのめり込むし面白い。斡由が殺せとは言わずに遠回しに更夜にそれを命じているやり口が回りくどくてイライラした。いっその事言葉にしてくれた方がまだきっぱりしていてマシに思える。

敵に紛れて尚隆が六太を助けに来て六太をおんぶする所と終盤のこれは尚隆を誉めてるわけじゃないからな!の部分が良かった。この主従好きだなと思えた瞬間。

| 2019.05.06 Monday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「東亰異聞」小野不由美
評価:
小野 不由美
新潮社
¥ 724
(1999-04-26)
Amazonランキング: 51909位

帝都・東亰、その誕生から二十九年。夜が人のものであった時代は終わった。人を突き落とし全身火だるまで姿を消す火炎魔人。夜道で辻斬りの所業をはたらく闇御前。さらには人魂売りやら首遣いだの魑魅魍魎が跋扈する街・東亰。新聞記者の平河は、その奇怪な事件を追ううちに、鷹司公爵家のお家騒動に行き当たる……。人の心に巣くう闇を妖しく濃密に描いて、官能美漂わせる伝奇ミステリ。

明治くらいの時代のファンタジーみたいな話。東亰を舞台に火炎魔人や闇御前が夜に現れ人々を襲っているという話。ホラーっぽくもあり不思議な世界観で慣れるまではとっつきにくかった。終盤の謎解きは結構な急展開なのだけど一番面白かった気がする。初子の思惑は小野さんらしいホラーというか呪いだなと思った。

| 2017.12.09 Saturday | 作家別・あ行(小野不由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
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