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 「女中譚」中島京子
評価:
中島 京子
朝日新聞出版
¥ 1,470
(2009-08-07)
Amazonランキング: 219975位

昭和初期の林芙美子、吉屋信子、永井荷風による女中小説があの『FUTON』の気鋭作家によって現代に甦る。失業男とカフェメイドの悪だくみ、麹町の洋館で独逸帰りのお嬢様につかえる女中、麻布の変人文士先生をお世話しながら舞踏練習所に通った踊り子……。レトロでリアルな時代風俗を背景に、うらぶれた老婆が女中奉公のウラオモテを懐かしく物語る連作小説集。
「ヒモの手紙」「すみの話」「文士のはなし」

昭和初期に女給から女中になった、すみという女性が語るすみの若かった頃の話。短編が3つなのだけど、そのどれもが既存の作品をモチーフにしているようです。元の話とどう違うのか読み比べたいなあとも思った。
「ヒモの手紙」は、女給をしているすみが、信作という無職の男と知り合い、信作に頼まれて信作の恋人である千代にあてて、金を送ってくれるようにせがむ手紙を出すようになる話。「すみの話」は、すみが女中として働いていた伊牟田家で、ドイツ人と日本人のハーフの萬里子との間にあった出来事を語る話。「文士のはなし」は、マイペースで変わった人でもある作家の元で働く事になった時の話。
どの話でも、すみは決していい人ではないけれど、したたかにでも生きていこうとする心意気は嫌いになれなかった。いい意味で人間くさいという感じかな。
| 2011.06.22 Wednesday | 作家別・な行(中島京子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「イトウの恋」中島京子
イトウの恋
イトウの恋
中島 京子

「旅の時間は夢の時間」とあの女は言った。人生はいつも誰にも不可思議なもの―。ヴィクトリアントラベラーに恋した男の手記をめぐる、心暖まるラヴストーリー。
★★★

明治時代、通訳として活動していたイトウを巡る物語。
イトウは実在の人物で、本当は伊藤鶴吉というらしいです。でもここでは伊藤亀吉になっています。
ちなみに彼が恋する外国人女性I.Bも実在の人物だそうです。
実際にいた人物をモデルにして、こういう話が生み出されるのは何かすごいですね。そして面白かったです。

イトウはイギリス人女性であるI.Bと一緒に旅をするうちに歳が倍は離れている彼女のことをいつしか好きになってしまう。
イトウの淡い恋心にキュンキュンしつつ、現代の田中シゲルや久保先生の関係も気になった。
最初は嫌がっていた田中シゲルが次第に久保先生や赤堀といる時間が楽しくなっている。その感じもまたほほえましいです。
この後、3人がどうなったのかが気になるところだなあ。
| 2008.05.07 Wednesday | 作家別・な行(中島京子) | comments(0) | trackbacks(2) |
 「ツアー1989」中島京子
ツアー1989
ツアー1989
中島 京子

記憶はときどき嘘をつく。香港旅行の途上で消えた青年は何処へ。15年前の4日間をめぐる4人の物語。

「迷子つきツアー」「リフレッシュ休暇」「テディ・リーを探して」「吉田超人」

私は1989年生まれなんですけど、それで何か気になって読んでみたら結構おもしろかったです。
これは1989年に香港旅行で消えた青年を巡る物語。1989年というと昭和から平成になった年だし、まだバブルの時期だったりで、こんなツアーがほんとにあってもおかしくないのかもと思った。

15年前に香港旅行に行った青年は一人だけ帰ってこなかった。一緒に旅行した人たちも青年は本当に一緒に旅行してたのか記憶が曖昧になっている。15年たって、手紙、日記、ブログによって青年の存在がだんだんと見えてくる。

全体を通してこの消えた青年は誰なのか、どうなったのか、という謎を解く感じで読める。それと同時に情報の怖さ、ネットの情報とか簡単に鵜呑みにしてはいけないということを改めて認識したり。この消えた青年は一緒に旅行した人たちにはボンヤリとした少年という印象でボンヤリボーヤとか言われていたのに、いつしかネットの世界では超人とか呼ばれている。どっからこの違いが生まれてきたんでしょうかね。

そうそう中島京子さんというと、田山花袋の蒲団を書き直そうとする話(だったっけ?)FUTONの作者さんなんですよね。群馬県民としては気になるところです。たぶん群馬の人の8割は田山花袋が何した人か知らなくても名前は知ってるんですよ。上毛カルタのおかげで。「誇る文豪田山花袋」とか今でも普通に覚えてますからねー。
この前テレビでやってたけど、ほんとに群馬の人はほとんど上毛カルタやったことあるよな。友達もみんなやってたって言ってたし。ちなみに私は地区大会3位とかいう微妙な成績を取ったことがあります。
| 2006.09.27 Wednesday | 作家別・な行(中島京子) | comments(0) | trackbacks(1) |