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 「金色機械」恒川光太郎
評価:
恒川 光太郎
文藝春秋
¥ 1,728
(2013-10-09)
Amazonランキング: 449126位

触れるだけで相手の命を奪う恐ろしい手を持って生まれてきた少女、自分を殺そうとする父から逃げ、山賊に拾われた男、幼き日に犯した罪を贖おうとするかのように必死に悪を糺す同心、人々の哀しい運命が、謎の存在・金色様を介して交錯する。人にとって善とは何か、悪とは何か。

時代物でありながらSFって感じの話。金色様と呼ばれる機械のような存在が見守る人々の話なのかな。政嗣と金色様の所がやるせなかったな。ああいう場所にいなかったら真っすぐな人として普通に生きていただろうになと切ない。人死にが多いけどコミカルな部分もあってそのバランスが個人的には結構好き。熊五郎は死んでしまうのかなと思ったけど穏やかに過ごせたっぽいのは良かった。金色様と遥香の旅の話も気になるな。それだけで一つの小説になりそう。

| 2017.07.28 Friday | 作家別・た行(恒川光太郎) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「秋の牢獄」恒川光太郎
評価:
恒川 光太郎
角川書店
¥ 1,470
(2007-11)
Amazonランキング: 175034位

十一月七日、水曜日。女子大生の藍は、秋のその一日を何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。朝になればすべてがリセットされ、再び十一月七日が始まる。彼女は何のために十一月七日を繰り返しているのか。この繰り返しの日々に終わりは訪れるのだろうか―。まるで童話のようなモチーフと、透明感あふれる文体。心地良さに導かれて読み進んでいくにつれて、思いもかけない物語の激流に巻き込まれる―。数千ページを費やした書物にも引けを取らない、物語る力の凄まじさ。圧倒的な多幸感と究極の絶望とを同時に描き出す、新鋭・恒川光太郎の珠玉の作品集。
「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」

これ、私の好みな感じのホラーだった。それぞれ、何かにとらわれてしまった人たちの物語。
「秋の牢獄」
11月7日という時間の中に閉じ込められて、何回も何回も同じ日を繰り返すようになってしまった藍。孤独に襲われていたが、やがて同じ境遇の人たちがいると知り、いつしかリプレイヤーと呼ばれる同じ時間を繰り返す仲間たちと共に過ごすようになる。同じ日に縛られるだけでも怖いのに、そこに更に北風伯爵という謎の存在にも薄気味悪さを感じる。伯爵にとらわれた後にあるのは、死なのか11月8日という明日なのか気になる。

「神家没落」
日本中を巡っている不思議な家にとらわれた男の話。これは怖いなあ。ある日誰かの代わりに家に閉じ込められ、出たくても出られなくなる。本来なら安心できる家という空間がとたんに不安定なものとなる。何とかして出ようとして無事に家から出る事は出来たけれど、どこか家に魅入られてしまっているのが怖い。

「幻は夜に成長する」
幻を見せる不思議な能力を持つ少女が、謎の団体にとらわれて、壊れていくまでの過程。これは怖い。この能力を誰かのために使おうと思っていなかったのに、力にねじ伏せられ、何も考えないように調教されていく。しかし、人々の毒を取り、自らの毒を強めていく事で、より強力な能力に目覚めていく。この先、平凡な人生を歩めないのだと思うと、過去の日常が平穏であっただけに余計きつい。
| 2011.05.14 Saturday | 作家別・た行(恒川光太郎) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「雷の季節の終わりに」恒川光太郎
雷の季節の終わりに
雷の季節の終わりに
恒川 光太郎

現世から隠れて存在する小さな町・穏で暮らす少年・賢也。彼にはかつて一緒に暮らしていた姉がいた。しかし、姉はある年の雷の季節に行方不明になってしまう。姉の失踪と同時に、賢也は「風わいわい」という物の怪に取り憑かれる。風わいわいは姉を失った賢也を励ましてくれたが、穏では「風わいわい憑き」は忌み嫌われるため、賢也はその存在を隠し続けていた。賢也の穏での生活は、突然に断ち切られる。ある秘密を知ってしまった賢也は、穏を追われる羽目になったのだ。風わいわいと共に穏を出た賢也を待ち受けていたものは―?透明感あふれる筆致と、読者の魂をつかむ圧倒的な描写力。『夜市』で第12回日本ホラー小説大賞を受賞した恒川光太郎、待望の受賞第一作。
★★★★
日本とはまた違う、隠れた場所にある穏という土地。そこで暮らす賢也を軸に現在と過去をつないでいくストーリー、というのかな?
ある事件をきっかけにして穏から逃亡することになる賢也。穏から違う場所へ向かうために長い道のりを歩き始める。
一方、茜は自分の継母により殺されかけるが、何とか助かる。同じく生き残った人と共に穏へと向かうことにする。

こんな感じで2つの主なストーリーが、一つの結末へと進んでいくその過程が読んでいてすごかったです。本が終わりのほうへ向かうほどページをめくる手が止まりませんでしたよ。そして結末もまた物悲しいんですよね。前作の夜市でもそうでしたけど、これは恒川さんの持ち味なんですね。
恒川さんの本、もっと読んでみたくなりましたねー。今度借りてきます!
| 2008.03.06 Thursday | 作家別・た行(恒川光太郎) | comments(0) | trackbacks(1) |
 「夜市」恒川光太郎
夜市
夜市
恒川 光太郎

日本ホラー小説大賞の受賞作ですが、ホラーというよりファンタジーな印象。「夜市」と「風の古道」の2篇なんだけど、どちらも現実でどこかにありそうな不思議な感じがした。歩いている道から一歩外れてしまったら、いつの間にかこんな世界が広がっていてもおかしくないなあなんて思った。こういう雰囲気の話は好きです。

「夜市」は欲しいものが何でも手に入る夜市に幼い頃迷い込んだ主人公が自分の弟と引き換えに野球の才能を買ってしまう。成長した主人公が弟を取り戻そうと再び夜市に行くという話。
夜市は妖怪が店を開いていて、一度入ってしまったら何かを買わなければ決して出ることはできない。
この夜市の雰囲気は少し怖いなあとも思ったけれど、話は中盤からしんみりくる話になった。あー、こうなるのかといい意味で裏切られた感じ。

「風の古道」は幼い頃迷い込んだ古道に友人と再び入ることで始まる話。その古道は死者や化け物が通る古道で、そこを古道を旅するレンと過ごす日々の話。こっちもしんみりくるファンタジーな感じ。レンの出生の話とコモリの話の繋がりなんか、少しじんわりきちゃいました。
どうでもいいけどレンさんが読んでてすごい好きなキャラだなあと思いました。なんか素敵。
| 2006.03.21 Tuesday | 作家別・た行(恒川光太郎) | comments(4) | trackbacks(2) |