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 「人くい鬼モーリス」松尾由美
評価:
松尾 由美
理論社
(2008-06)
Amazonランキング: 839982位

高校2年の夏休み、わたしこと村尾信乃は、家庭教師のアルバイトのため、優雅な避暑地にやってきた。手ごわいと聞いていた生徒は、芽理沙という名の超美少女。小生意気だけど、どこか寂しさを漂わせた芽理沙に、わたしは興味をひかれる。だが、すてきな夏になるかも、という期待は、あっさり打ちくだかれた。芽理沙に引き合わされた「人くい鬼」を見た瞬間に。この世のものとも思えない異様な姿をした、この世に存在するなんて信じたくもない、生き物だった。彼女いわく、大人には見えないし、生きている人間に害はあたえないそうだが、はたして、その言葉をうのみにしていいものだろうか?やがて、静かな別荘地を震撼させる、恐ろしい事件がたてつづけに起きる―。人くい鬼の存在を知らない大人たちの推理と、その存在を前提に繰り広げる少女たちの推理。少女たちと人くい鬼の不思議な絆を描く、さわやかでマジカルなミステリー。
図書館で前からタイトルで気になっていたのをようやく借りて読んでみた。夏の物語なので今の時期に読むのにぴったりだった1冊。ヤングアダルト向けミステリなので読みやすいし、設定も面白かった。ちなみに文庫の方だと「モーリスのいた夏」に改題されているみたいだけど、そっちの方が内容的にもしっくりきているような気がします。人くい鬼だとちょっと過激すぎる感じだしね。

義父の紹介で夏の間、家庭教師のアルバイトをする事になった信乃。面接に採用されたけれど、その決め手は子供にしか見る事の出来ない人くい鬼のモーリスを見る事が出来るかどうかだった。人くい鬼といってもモーリスは生きた人間を食べたり殺すのではなく、死んでしまった人間の魂を食べるのだと信乃の教え子である芽理沙は言う。しかし別荘で人が死ぬ事件が起こり、死体も消えてしまう。死体はモーリスが魂を食べた為に消えてしまったと理解している芽理沙と信乃に対して大人たちは何者かが死体を移動させたのだと考える。

事情が分かっている子供と分かっていない大人で理解度が変わってしまうのが面白かった。小学生ながら謎めいている芽理沙の雰囲気もあって、芽理沙がもしかしたらどうにかしてしまったのかもと読めなくもないハラハラ感とか個人的には良かった。エピローグは妙に現実的ながら過ぎ去った日々を懐かしむ哀愁もあったりして印象的。
| 2013.07.23 Tuesday | 作家別・ま行(松尾由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「フリッツと満月の夜」松尾由美
評価:
松尾 由美
ポプラ社
¥ 1,365
(2008-04)
Amazonランキング: 676137位

夏休みを港町で過ごすことになったカズヤ。月の光と不思議な猫に導かれ、彼が知ることになった「秘密」とは―。小説家の父とデザイナーの母、食堂「メルシー軒」のおかしな息子とその両親、お金持ちで偏屈な老婦人、そして、猫…。個性的なキャラクターが満載の、ひと夏のさわやかミステリー。
夏休み、小学生のカズヤは小説家の父親と一緒に実家を離れて海辺の町へ遊びに行く。同い年のミツルと知り合いになり、2人で数年前に亡くなったお金持ちの老婦人の財産の行方を探ろうとする。
小学生の夏休み、実家を離れ海辺の町へというのが爽やかでいいなあ。夏に、親の実家へ遊びに行った時の事を思い出す。
猫のボランティアや司書のお姉さん、カズヤの前にたびたび現れる猫など、ちりばめられたあやしい要素を話の終わりまでに回収していて、すっきりとした読後感。個人的にはフリッツとカズヤの交流をもっと見たかったかなあ。フリッツの存在がちょっと中途半端にも思えてしまったのが残念。
| 2011.06.12 Sunday | 作家別・ま行(松尾由美) | comments(2) | trackbacks(0) |
 「おせっかい」松尾由美
評価:
松尾 由美
幻冬舎
(2000-06)
Amazonランキング: 1276751位

連載小説「おせっかい」を読んだ古内繁は同じ世界を夢にまで見る。続きを読んだ古内は驚愕。夢がそのまま小説化されていた! 小説の中に入りこんだのか!?   驚天動地の新感覚文芸ミステリー。
タイトルの通り、作中の人物のおせっかいでどんどん話が動いていく。中年サラリーマンの古内は、雑誌に連載中の「おせっかい」というタイトルの小説を読み、そこに登場する女性刑事に興味を持つ。するとある時、何故か古内は小説の中に入り込み、作中で起る殺人事件の野次馬となっていた。そして古内が小説内に入り込めることを知った古内の元部下たちがおせっかいにも古内の世話を焼くようになる。

登場人物が作中の小説の中に入り込むという展開がすごいなあと。そんな危ない事しなければいいのに、何回も小説内に入り込む古内にはおいおいって感じだったけど、後半どんどん物語が進むにつれて面白くなっていった。おせっかいで命の危機にもなれば命を救われたのもおせっかいから。何だか皮肉なものを感じる。
| 2011.04.13 Wednesday | 作家別・ま行(松尾由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「九月の恋と出会うまで」松尾由美
九月の恋と出会うまで
九月の恋と出会うまで
松尾 由美

「男はみんな奇跡を起こしたいと思ってる。好きになった女の人のために」『雨恋』の著者が放つありえない恋の物語・第二弾。
★★★★★

近隣トラブルが原因で引っ越した志織は、カメラを趣味として、自分で現像もしていることから、芸術的活動をしている人だけが入れる「アビタシオン・ゴドー」というマンションに入居する。
ある日、自分の持っている熊のぬいぐるみ・バンホーに、隣人の平野さんのことについて話していたら、壁の向こうから1年後の平野と名乗る人物から話しかけられ、あることをしてほしいと頼まれる。

松尾さんの書かれるSFチックな恋愛小説は結構好きで、これもすごく面白かった。正直SFチックな部分は読んでいても仕組みが上手く入ってこないんだけど、それでも読んでると面白くて楽しめた。
好きな人のためにここまで出来るのかっていうと、なかなか出来ないような気もするし、勇気もないだろうなあと思う。真実が分かったときは、少しかなしいような気持ちにもなり、ラストには少し泣けてきました。
| 2009.03.24 Tuesday | 作家別・ま行(松尾由美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「雨恋」松尾由美
雨恋
雨恋
松尾 由美

世界がずっとこのままであればいい。ぼくは雨が永遠に止まないことを祈った、静かに深く彼女とつながりながら…。心を濡らすラブストーリー。

再読。これがはじめて読んだ松尾さんの本です。といっても他に読んだのはアンソロジーに入ってた短編だけなので、まだ他の作品は読んでないようなものですが…。

何となく帯にひかれて買ったので、松尾さんがミステリー書く人だって全然知らなかったので最初はものすごく戸惑った記憶が…。はじめて読んだころはミステリとか全然読んでなかったしなあ。今でもそんなに読んでないんだけど。
で、改めて読んでみるとやっぱおもしろいなあと思いました。結末はわかってたけど、その経緯が頭からすっぽり抜けてたので新鮮な気分で読めました。

幽霊の女性と生きている男性の恋、なんていったら結末は想像通りなんだけど、そのことについて葛藤したり戸惑ったりする主人公、渉の気持ちがひしひしと伝わってきた。最後はやっぱりちょっと涙。
| 2007.03.25 Sunday | 作家別・ま行(松尾由美) | comments(0) | trackbacks(0) |