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 「ワーカーズ・ダイジェスト」津村記久子
評価:
津村 記久子
集英社
¥ 1,260
(2011-03-25)
Amazonランキング: 162656位

32歳は、欲望も希望も薄れていく年だった。けれど、きっと悪いことばかりじゃない。重信:東京の建設会社に勤める。奈加子:大阪のデザイン事務所に勤め、副業でライターの仕事をこなす。偶然出会った2人は、年齢も、苗字も、誕生日まで同じ。肉体的にも精神的にもさまざまな災難がふりかかる32歳の1年間、ふたりは別々に、けれどどこかで繋がりを感じながら生きていく―。頑張るあなたに贈る、遠距離“共感”物語。
「ワーカーズ・ダイジェスト」と「オノウエさんの不在」の2編。

「ワーカーズ〜」は、誕生日も年齢も名字も同じな2人の佐藤さんの仕事や日常を交互に綴った物語。津村さんの作品はほとんど何という事のない普通の人たちの日常なんだけど、ごくありふれているだけに登場人物たちの気持ちや感情の動きに、なんか分かるなあと共感できるのかなと思う。そしてこの話は1年後に偶然再会した2人の佐藤さんがその後どうなっていくのか、これからが見たいのになとちょっと残念。

「オノウエさん〜」もテイストは表題作と同じかな。自分では変えられない物事に対して、それでもあれこれ考えてしまうというのが。こっちも短いながらも結構好きな話だった。
津村さんは当たり障りのない日常を淡々と書く人だから、短編向けな気がする。「ウエストウイング」とか長すぎて正直退屈だったからね。
| 2013.06.26 Wednesday | 作家別・た行(津村記久子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ウエストウイング」津村記久子
評価:
津村 記久子
朝日新聞出版
¥ 1,890
(2012-11-07)
Amazonランキング: 28127位

職場の雑事に追われる事務職のOL・ネゴロ、単調な毎日を送る平凡な20代サラリーマン・フカボリ、進学塾に通う母子家庭の小学生・ヒロシ。職場、将来、成績と、それぞれに思いわずらう三人が、取り壊しの噂もある椿ビルディング西棟の物置き場で、互いの顔も知らぬまま物々交換を始める。ビルの隙間で一息つく日々のなか、隠し部屋の三人には、次から次へと不思議な災難が降りかかる。そして彼らは、図らずも西棟最大の危機に立ち向かうことに…。
あまり繁盛していない椿ビルディングを舞台に、そこで働いている会社の人や塾に通う子供、テナントで入っている店の人たちの交流的なものが描写されている。
つまらなくはないんだけど、読むのにえらく時間がかかってしまった。ビルの空き部屋をさぼり場所としている3人の人物がそれぞれニアピンしていくのが面白かった。話としては塾に通う小学生ヒロシの章が好きだった。椿ビルディングで働いているような大人にはなるな、みたいなシーンは、でも大体の人はそんなような感じの場所にいるんだよなあと思いつつもちょっとグサグサきたりもした。
今回はページ数が多かったので若干中だるみを感じてしまったけれども、津村さんの描くちょっとした描写は結構好き。
| 2013.01.14 Monday | 作家別・た行(津村記久子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「八番筋カウンシル」津村記久子
評価:
津村 記久子
朝日新聞出版
¥ 1,470
(2009-02-20)
Amazonランキング: 475642位

30歳を目前にして体調を崩し、会社を辞めたタケヤス。地元の八番筋商店街では近くに巨大モールができることで青年団(カウンシル)の会合が騒がしくなっていく。地元を出た者と残った者、それぞれの姿を通じ人生の岐路を見つめ直す成長小説。
商店街の住人たちを中心とした人間模様の話、と言っていいのかなあ。近くにショッピングモールが建設されることになりそうで、その建設を賛成か反対かで揺れている商店街の人たち。タケヤスは、小説の新人賞を取った事で仕事を辞め、同級生のホカリの家がやっていたお店の場所を借りてちょっとした商売を始める。そのため商店街の会合に呼ばれるようになる。
タケヤスの現在と、中学生の時のタケヤスの父親との関係や、友人のヨシズミの祖父が亡くなった時の事を交互に描写している。
自分が子供時代を過ごした場所に、今の自分は大人としている、そのちょっと不思議な感覚や商店街での一見くだらなく思える不毛な話し合いの描写が上手いなあと感じた。カジオは結構くわせものだなあと思った。彼は色々と計算していそうだ。
| 2011.10.28 Friday | 作家別・た行(津村記久子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「アレグリアとは仕事はできない」津村記久子
評価:
津村 記久子
筑摩書房
¥ 1,470
(2008-12)
Amazonランキング: 84167位

「この会社に来て、もっとも低い立場からそのキャリアを始め、今もそこに留まっているミノベ」の、職場での孤独な戦いと人間模様を、独特のユーモアとパワーで描く意欲作。
「アレグリアとは仕事はできない」「地下鉄の叙事詩」

「アレグリア〜」は、コピー機アレグリアに翻弄されるミノベの話。心中のアレグリアに対する毒がものすごいですが、何だかすごく人間くさく感じて好きだった。一人の人間の怠慢から全く関わりのない人につけが回っているのがすごく嫌な感じだ。アレグリアが、男性社員が動かす時にだけ調子がいいというのも読んでいるこっちからしたら、ミノベのようにむかっとする要因になっているのかも。最後の終わり方は綺麗にまとまっていて良かった。

「地下鉄の叙事詩」は、地下鉄に乗る人の群像劇みたいな感じ。朝の地下鉄の心情がすごく分かる!足広げて座席に座っている人への憤りもうんうんという感じ。そして主に痴漢関連がメインであったのだけど、その描写の気持ち悪さにゾッとする。当たり前だけど、痴漢はやっぱり最低だわ!
| 2011.06.16 Thursday | 作家別・た行(津村記久子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ミュージック・ブレス・ユー!!」津村記久子
評価:
津村 記久子
角川グループパブリッシング
¥ 1,575
(2008-07-01)
Amazonランキング: 136643位

アザミよ、ヘッドホン1個耳に引っ掛けてどこへ行く―。オケタニアザミは「音楽について考えることは、将来について考えることよりずっと大事」な高校3年生。髪は赤く染め、目にはメガネ、歯にはカラフルな矯正器。数学が苦手で追試や補習の連続、進路は何一つ決まらない「ぐだぐだ」の日常を支えるのは、パンクロックだった!超低空飛行でとにかくイケてない、でも振り返ってみればいとおしい日々…。
高校3年生のアザミの衝動。勢いがあって面白かった。アザミのセリフに結構ハッとするものがあった。「何も考えられないんで〜」のくだりとか。しかし会話は音楽の話ばっかりで、あんま洋楽に詳しくないのでピンとこなかったのは残念。
成績ヤバくてギリギリで乗り越えているアザミには、自分の高校時代を思い出しました。私も理数が足を引っ張り、数学の補習受けたなあ。何だか懐かしい。
| 2011.05.02 Monday | 作家別・た行(津村記久子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「君は永遠にそいつらより若い」津村記久子
評価:
津村 記久子
筑摩書房
¥ 1,470
(2005-11)
Amazonランキング: 384374位

就職が決まったばかり、22歳処女。だらだらとした日常の底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望…? 現代的な筆致が光る小説。
津村記久子のデビュー作。
就職先も決まっている大学4年生の物語。私は中々読み進められなくて、えらく時間がかかってしまった。タイトルのセンスは結構いいなあと読み終わってから気づいた。
| 2011.04.10 Sunday | 作家別・た行(津村記久子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「婚礼、葬礼、その他」津村記久子
評価:
津村 記久子
文藝春秋
¥ 1,200
(2008-07)
Amazonランキング: 399968位

友人の結婚式に出席中、上司の親の葬儀に呼び出されたOLヨシノのてんやわんやな一日。若者たちの群像小説「冷たい十字路」併録。
「婚礼、葬礼、その他」「冷たい十字路」の2編。

「婚礼、葬礼、その他」はまさにタイトル通り、1日の中で婚礼と葬礼に出なくてはならなくなり、右往左往するコメディタッチの作品。タイミングが悪くてご飯すら食べられない主人公の運の悪さに読んでいてクスリと笑えた。

「冷たい十字路」は、逆にシリアスな話。ある事故を軸として、ちょっとした関わりを持つ複数の人の視点から話が進み、次第に事故の起こった原因が浮かびあがってくる、そんな話。どこにでもいるような人たちのちょっとした悪意や善意を垣間見るような話だった。
| 2011.02.02 Wednesday | 作家別・た行(津村記久子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ポトスライムの舟」津村記久子
評価:
津村 記久子
講談社
¥ 1,365
(2009-02-05)
Amazonランキング: 50857位

お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。第140回芥川賞受賞作。
「ポトスライムの舟」「十二月の窓辺」の2編。

「ポトスライムの舟」は、自分の働いている職場の1年間の給料で世界一周が出来る事が分かったナガセが、一年間お金を貯めてみようと決めるのだけど、同じ時期に離婚しようと考えている友人が、子供を連れてナガセの家へしばらく居候としてやってくる。出てくる人物は女性ばかりなのですが、それぞれに立場は違っていて、どう生きるのか、という事を考えさせられた気がする。誰の人生が一番いいのかなんて正解はそれぞれに違うのだと思います。しかし、人生にささやかな目標みたいなものを見つけてみると、ナガセのように何だかんだでやっていけてしまうのかもなあと思った。

「十二月の窓辺」は、ひどいパワハラにあっているツガワの話なんだけど、この職場はちょっとひどいだろうと思う。でも現実には本当にこういう場所もあるんでしょうね。ツガワは同じビルで働くナガトにだけ仕事の様々な話をしていて、ナガトも大変なのだろうとは思っていても、ツガワは自分よりはましなんだろうと思ってナガトの話をろくに聞いてあげる事はしなかった。でも仕事がどれだけ辛いかって、いくら話をしていても本人にしか分からないもので、ツガワはその事を最後の最後に知る。人って、自分の事でいっぱいいっぱいになってしまうものなのだなって思う。何だかこの話は仕事の現実を知るような話でした。
| 2010.02.26 Friday | 作家別・た行(津村記久子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「カソウスキの行方」津村記久子
評価:
津村 記久子
講談社
¥ 1,470
(2008-02-02)

郊外の倉庫管理部門に左遷された独身女性・イリエ(28歳)は日々のやりきれなさから逃れるため、同僚の独身男性・森川を好きになったと仮想してみることに…。第138回芥川賞候補作。
「カソウスキの行方」「Everyday I Write A Book」「花婿のハムラビ法典」の3編。

「カソウスキの行方」
後輩から相談された上司からのセクハラの話を上司にしたら、後輩から「それはイリエさんの勘違いです。」と言われてしまい、その事から地方の閉鎖対象の倉庫勤務になってしまったイリエの話。
後輩と上司の不倫を見抜けず正直に信じきったイリエが悪いと言われつつ、倉庫勤務にやる気の起きないイリエは倉庫に勤務している独身男性・森川を好きであると仮定して日々を過ごそうと決める。タイトルのカソウスキというのは仮想好きだったんだなと読んでいって納得。カソウスキと言っても実際には好きではないので、森川とパートの人が話しているのを見ても何とも思わないし、むしろ2人の仲を野次馬的な感じで気にしてて面白かった。

「Everyday I Write A Book」
地下鉄のICカードのデザインをした男性が気になっていたけど、その人は婚約してしまい、彼と共通の知り合いであるオサダと偶然に駅で会ってから時たま会うようになった野枝の話。

「花婿のハムラビ法典」
結婚する男女の結婚に至るまでの過程の話。この話は読んでいて、こんなんで結婚しちゃってこの先大丈夫なのか心配になってしまった。

津村記久子の本は初めて読んだけど、普通の文章なのに時々くすりと笑えて面白かったです。これからも追っかけてみたいと思いました。
| 2009.10.20 Tuesday | 作家別・た行(津村記久子) | comments(0) | trackbacks(0) |