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 「タダイマトビラ」村田沙耶香
評価:
村田 沙耶香
新潮社
¥ 1,680
(2012-03-30)
Amazonランキング: 166923位

自分の子どもを愛せない母親のもとで育った少女は、湧き出る家族欲を満たすため、「カゾクヨナニー」という秘密の行為に没頭する。高校に入り年上の学生と同棲を始めるが、「理想の家族」を求める心の渇きは止まない。その彼女の世界が、ある日一変した—。少女の視点から根源的な問いを投げかける著者が挑んだ、「家族」の世界。驚愕の結末が話題を呼ぶ衝撃の長篇。
自分の中で満たされない感情を自分で満たしているけれど、他者もまたそれを自分を利用してやっているのだと気付いたら嫌悪感を抱く恵奈は結構自分勝手だなあと思った。終盤は超展開に思えたけれど、それまでの過程は割と面白く読んだ。自分の家が嫌だから自分は本当の家族を作るんだと考えているのだけど、でもいざ自分が家族を作ろうと行動をしても自分の望むように作れるとは限らないわけで、向かう方向性としては予想通りだったかな。そこから家族を飛び越えて生命体とかそういう方向に向かったのは予想外だった。
| 2014.02.27 Thursday | 作家別・ま行(村田沙耶香) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ハコブネ」村田沙耶香
評価:
村田 沙耶香
集英社
¥ 1,575
(2011-11-04)
Amazonランキング: 292512位

セックスが辛く、もしかしたら自分は男なのではと思い、男装をするフリーターの里帆。そんな曖昧な里帆を責める椿は、暗闇でも日焼け止めを欠かさず肉体を丁寧にケアする。二人の感覚すら共有できない知佳子は、生身の男性と寝ても人間としての肉体感覚が持てないでいた―。十九歳の里帆と二人の“アラサー”女性。三人が乗る「ハコブネ」は、セクシャリティーという海を漂流する。
村田さんは前に読んだ本でも同じようなテーマで話を書いていたような気がする。性への違和感というか、そんな感じの話。
好きになった人と性行為をしても、嫌な感じしかしない里帆は、自分の性別について悩むようになる。そんな里帆が自分自身の事をもう一度知るために、自習室に通い始める。そこで出会った知佳子もまた、マイペースに見えるけれども他の人と同じようには生きていけず、世の中を芝居やままごとを冷めた目で見ているように生きている。そして里帆のバイト先の常連で、知佳子の友達である椿の3人が関わりながら、里帆と知佳子の心境を交互に綴っていく。
この3人の中では椿が一番しんどいのかもしれないなあ。里帆のように逃げ込む事も出来ず、知佳子のように達観する事も出来ず、女としての自分にとらわれている感じ。だからこそ里帆にいらつく気持ちも分かる。知佳子と椿がお互いを羨ましく思っていたと打ち明けるシーンとか好きだなあ。誰だって他人を羨むけど、その人自身は自分ではない誰かを羨んでいる。人間って案外そんなものかもしれないなあと思わせる。
| 2012.07.06 Friday | 作家別・ま行(村田沙耶香) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「星が吸う水」村田沙耶香
評価:
村田 沙耶香
講談社
¥ 1,680
(2010-02-27)
Amazonランキング: 474947位

「野間文藝新人賞」受賞第一作となる最新刊自分が女だとういうことが、だんだん遠ざかっていく。精神は肉体をもてあまし、潤うことも充足することも叶わない。男と女、女と女が対となって描かれる作品集。
「星が吸う水」「ガマズミ航海」の2編。

どちらも性がテーマ。だけど、エロの方向ではなく、主人公は哲学的な感じに性やセックスについて考えている。

「星が吸う水」は、主人公の鶴子の他に、鶴子の友人の梓と志保が出てくる。この3人の恋愛観の違いが、結構描写されていて面白かった。色んな考え方があって、どれも否定する事は出来ないのだと思う。

「ガマズミ航海」は、女2人でセックスとは違う、性的な感じのしないやり方で新しい快感を得るものがないかと模索する話。この話も主人公の結真と美紀子で、恋愛に関する事で置かれている状況が違うのが比較出来て面白い。
| 2010.09.23 Thursday | 作家別・ま行(村田沙耶香) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「マウス」村田沙耶香
評価:
村田 沙耶香
講談社
¥ 1,680
(2008-03-27)
Amazonランキング: 480954位

女の子が自分らしく在るために必要なこと。少女から、女性へ。子供から、大人に。女の子同士に交わされる好意、友情、いじわる、ライバル心、さまざまな心の機微と成長を鮮明に描いた、ガールズ・ノベル。
私が過去に読んだ村田沙耶香の作品と同じで、精神的に不安定な主人公の話しなのかと思っていたら違った。
不安定な存在として瀬里奈が出てくるけれど、他の作品よりは大人しい印象を持った。

主人公の律は、自分自身を下の方に位置していると思っている。小学生の時の瀬里奈と律の出会いから、大学生になって再び再会し、交流を持つ事になる事で、自分の存在を前向きに受け入れられるようになっていくという話。
私自身、律に結構近い小学生だったので、小学生時代の律の気持ちはむずむずと懐かしいものがあった。その時の自分がこれを読んだら何を感じるのかが気になった。
| 2010.08.17 Tuesday | 作家別・ま行(村田沙耶香) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「授乳」村田沙耶香
評価:
村田 沙耶香
講談社
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(2005-03-01)

その場限りの目新しさなら、もういらない。「文学」をより深めて行く瑞瑞しい才能がここにある。「こっちに来なさいよ」そう私に命令され、先生はのろのろと私の足下にひざまずいた。私は上から制服の白いブラウスのボタンを一個ずつ外していった。私のブラジャーは少し色あせた水色で、レースがすこしとれかけている。私はそういうぞうきんみたいなひからびたブラジャーになぜか誇りを感じている。まだ中学生とはいえ、自分の中にある程度腐った女があることの証明のように思えたのだ。群像新人文学賞・優秀作。
「授乳」「コイビト」「御伽の部屋」の3編。
3編とも自己の世界に入り込みすぎている女性の話だった。「授乳」はそこに思春期としての残酷さのゆなものも混ざっている感じだった。
「コイビト」は、人形をまるで自分の恋人のように扱い安らぎを得ていた主人公が、自分と同じような事をしている小学生の女の子に会う話。どの話もかなり後味が悪かった。でもそれ故に気になって読んでしまう作風だなあと思う。
| 2009.12.30 Wednesday | 作家別・ま行(村田沙耶香) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ギンイロノウタ」村田沙耶香
評価:
村田 沙耶香
新潮社
¥ 1,680
(2008-10)

私となんの関係もないあなたを、私は殺したい。

成熟を夢見ながらも無差別殺人衝動に襲われていく内気な少女の極限の姿を描いた表題作。そして殺傷行為を恋愛感情とクロスさせる女子大生のラブ・ストーリー「ひかりのあしおと」。――「誰が身震いせずにいられよう」と絶賛を浴びる注目の作家の、圧倒的なエネルギーを湛えた二作品を収録する小説集。
「ひかりのあしおと」「ギンイロノウタ」の2編。

「ひかりのあしおと」
小学生の時に公衆トイレに閉じ込められて、謎の呪文を聞かされてから、ひかりに追いかけられているような気がするようになってしまった誉。恋愛をして恋人がいる時は、そのひかりに勝てているような気がしていて、大学で出会った蛍という男性に強烈に惹かれて付き合い始めるようになるのだけど、それでもひかりは迫ってくる。
読んでてすごい話だなあと思った。誉も誉の母親も2人して狂気じみててぞっとする感じでした。
ラストの方の誉はホラーの一種だと思ってしまった。

「ギンイロノウタ」
幼い頃から性に興味を持っていた有里は、何をやっても要領が悪くてトロい。性の経験を早く持ちたいと思っていて、誰よりも自分を安売りしようと思ってもいざそうなると出来なくて、そんな時、中3になった有里の担任になった赤津は、熱血系の教師でクラスに打ち解けていない有里に5分間スピーチを毎日させる。有里は赤津への殺意をノートにひたすら綴ることで自分を抑えるようになる。

これもまたすごい話だなあと思った。主人公はすごく早熟だけど、ひたすらノートに殺意を書きつづる事で、落ち着こうとするところからして激しいしすごい。
ものすごく自分の内の世界にこもっているからこんなことになってんだろうなあとは思った。

2編とも、何となく似たテイストで、女の狂気みたいなのがよく出ているなあと思った。
初めて読んだ作家ですが、かなり印象に残る本で気になったので、ちょっとずつ追っかけてみようかと思います。
| 2009.09.14 Monday | 作家別・ま行(村田沙耶香) | comments(0) | trackbacks(0) |