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 「サマータイム」佐藤多佳子
評価:
佐藤 多佳子
新潮社
¥ 420
(2003-08-28)
Amazonランキング: 74296位

佳奈が十二で、ぼくが十一だった夏。どしゃ降りの雨のプール、じたばたもがくような、不思議な泳ぎをする彼に、ぼくは出会った。左腕と父親を失った代わりに、大人びた雰囲気を身につけた彼。そして、ぼくと佳奈。たがいに感電する、不思議な図形。友情じゃなく、もっと特別ななにか。ひりひりして、でも眩しい、あの夏。他者という世界を、素手で発見する一瞬のきらめき。鮮烈なデビュー作。
「サマータイム」「五月の道しるべ」「九月の雨」「ホワイト・ピアノ」の4編。

再読。小学生の進がプールで出会った2つ年上の少年・広一は事故で自分の左腕と父親を亡くしていた。進と広一、進の姉の佳奈を交えた交流と別れ、再会までの話が表題作。他の3編はサマータイムのラストになるまでの広一や佳奈のエピソードで(五月の道しるべは過去の話だけど)、サマータイムを補完するような話になっている。少年少女の苛立ちや何とも言えない気持ちの揺れ動きを描写するのが上手いなあと思う。
初めて読んだのは高校生ぐらいで、その時はピンとこなかったのだけど、今改めて読むと感情の動きが丁寧なんだなと分かる。この辺の感覚は大人の方が通り過ぎた感情だから分かるのかなあ。
広一が語り手の九月の雨と佳奈が語り手のホワイト・ピアノが好きだった。
| 2013.07.31 Wednesday | 作家別・さ行(佐藤多佳子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「聖夜」佐藤多佳子
評価:
佐藤 多佳子
文藝春秋
¥ 1,450
(2010-12-09)
Amazonランキング: 20919位

少し早い、俺たちだけの聖夜。そのオルガンは、特別な音で鳴った。18歳の少年が奏でる、感動の音楽青春小説。
青春って感じでいいなあ。
家が教会でありながら、神を信じる事が出来ない鳴海。それは母親が父親と離婚して別の男の人と再婚すると聞いてからである。常に厳格で神に仕えている父親との間に次第に開いてしまう距離と、学校のオルガン部で母親にまつわる思い出の曲を弾く事になり、そこから生まれる様々な葛藤と
、読み応えがあった。
佐藤さんの描写する少年少女は、等身大って感じで好感が持てる。終盤で、父親が明かす隠し事のシーンの描写とか印象に残った。タイトルが聖夜なのに、聖夜で終わらないっていうのも何だか面白かったなあ。本番がすべてじゃないって感じで良い。
| 2011.10.08 Saturday | 作家別・さ行(佐藤多佳子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「一瞬の風になれ 第三部 --ドン--」佐藤多佳子
一瞬の風になれ 第三部 -ドン-
一瞬の風になれ 第三部 -ドン-
佐藤 多佳子

すべてはこのラストのために。話題沸騰の陸上青春小説

ただ、走る。走る。走る。他のものは何もいらない。
この身体とこの走路があればいい……
「1本、1本、全力だ」

そして、俺らはいつものように円陣を組んだ。総体に行くためだけでなく、タイムを出すためだけでなく、鷲谷と戦うためだけでなく、何より、俺たち4人でチームを組めたことのために走りたいのだった。
「この決勝走れて、どんなに嬉しいか、言葉じゃ言えねえよ」
全3巻圧倒的迫力の完結編!!
★★★★

あっという間の最終巻。新二も3年生になり、新しく1年生が入ってくる。
そこでまた問題児、鍵山が加わってリレーのメンバーが出来上がる。

そして3年生は最後の大会へ挑む。マイルでの失敗で涙するマイルのメンバーには一緒に悲しみ(新二のセリフにやられた)、谷口さんが県に進めるときは一緒に喜んだりと、思わずこっちも応援したくなった。
たった一瞬の勝負。その重みと緊張感がよく伝わってきた。陸上競技らしく、本当に走っているシーンは短いんです。だから本当に100メートルの勝負、たった一瞬にかけるその思いが分かるような感じ。
チームプレイもいいなあと思えましたね。

夏に読むのにぴったりの1冊でした。
| 2008.08.16 Saturday | 作家別・さ行(佐藤多佳子) | comments(2) | trackbacks(1) |
 「一瞬の風になれ 第二部 --ヨウイ--」佐藤多佳子
一瞬の風になれ 第二部
一瞬の風になれ 第二部
佐藤 多佳子

何かに夢中にだった、すべての人へ贈る青春小説
「最高だ」
直線をかっとんでいく感覚。このスピードの爽快感。身体が飛ぶんだ……。
少しずつ陸上経験値を上げる新二と連。才能の残酷さ、勝負の厳しさに出会いながらも強烈に感じる、走ることの楽しさ。意味なんかない。でも走ることが、単純に、尊いのだ。
「そういうレースがあるよね。きっと誰にも。一生に一回……みたいな」
今年いちばんの陸上青春小説、第2巻!
★★★★
続きの2巻。新二の一年上の先輩たちの最後の試合のところはすごくよかった。
自分の部活の引退試合とかちょっと思い出しました。私は団体競技がダメだけど、このチームの皆で一緒に分かち合う感じはよいなあと思った。
ハードボイルド守屋部長の涙にはこっちまで泣きそうになっちゃいましたよ。いつのときも最後は辛いもんですよね。

それから新しい部長も決まるし、後輩も入ってくる。
部長は納得できる人選だなあと思った。後、新二の恋の話もよかったなあ。青春っていいなあと、思いましたね。

そして、最後のほうではまさかの事件が起こる。
スポーツ物ではありがちなんだろうけど、これを当人はもちろん、その周りの人間もどう立ち直っていくか、その辺も注目かなあと思う。
| 2008.08.10 Sunday | 作家別・さ行(佐藤多佳子) | comments(0) | trackbacks(1) |
 「一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--」佐藤多佳子
一瞬の風になれ 第一部  --イチニツイテ--
一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--
佐藤 多佳子

「速くなる」
ただそれだけを目指して走る。
白い広い何もない、虚空に向かって…………。
春野台高校陸上部。とくに強豪でもないこの部に入部した2人のスプリンター。ひたすらに走る、そのことが次第に2人を変え、そして、部を変える。「おまえらがマジで競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説、誕生。
★★★
佐藤さんの陸上青春小説。家に2年積んでいました。
主人公の新二の視点で描かれた軽い文体で読みやすかった。

佐藤さんの描く少年少女ってリアリティがあって私は好きです。
いちいち占いを気にする先輩・浦木にハードボイルドな部長守屋、天才スプリンターで春高のエース、でも根性がなくて体力もない連、それぞれの個性があっていい。
主人公の新二も、元サッカー部で、サッカーから陸上に転向した。天才的なサッカー選手を兄に持っているという何かありそうな感じ。

1巻は合宿のシーンが一番好きかも。脱走とかすごすぎる!

2、3巻と、彼らがどのように活躍していくのかが楽しみです。
| 2008.08.06 Wednesday | 作家別・さ行(佐藤多佳子) | comments(0) | trackbacks(1) |
 「黄色い目の魚」佐藤多佳子
黄色い目の魚
黄色い目の魚
佐藤 多佳子

ハードカバーのほうを持っているにも関わらず、文庫が出たときについ買ってしまったのでこの機会にもう一度読んでみた。この本は私の中でかなり好きな本になっています。主人公2人とちょうど同じ年代だから共感が持てるというのも好きな理由なのかなあと思う。
好きより嫌いが多かったり、本気になるのが嫌だったり、そういう気持ちって本当によくわかるなあと思う。そしてそんな自分が嫌で変えよう、変わろうとする姿勢もすごいなあとも思う。思ってもなかなかそれを行動に移せないものだと思うので。

どうでもいいけれど、文庫の表紙を見ると主人公2人のイメージが私が思ってるのとは全然違って何だか最初違和感を感じてしまった。
| 2005.12.15 Thursday | 作家別・さ行(佐藤多佳子) | comments(4) | trackbacks(3) |