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 「接近」古処誠二
評価:
古処 誠二
新潮社
(2006-07-28)
Amazonランキング: 804937位

昭和二十年四月、アメリカ軍が沖縄本島に上陸したとき、安次嶺弥一は十一歳だった。学校教育が示すまま郷土の言葉を封じて生きる彼の前に、同じく郷土の言葉を封じたアメリカ人が突然日本兵の姿で現れる。本来出会うはずのなかった彼らは、努力をもって体得した日本の標準語で時間を共有し、意思を伝え、距離を詰めていく。人の必然にしたがって、相容れない価値観は「接近」した。
古処さんの戦争小説の中でも短くて読みやすかった。それでいて内容はしっかりと考えさせられたりもするし、読みごたえもあって良かった。弥一の考えは今では頑なすぎるって思うけど、この時代で考えたら普通だったんだろうなあと考えると切なくもあるなと思った。最後は後味悪いけど印象に残った。
| 2014.08.10 Sunday | 作家別・か行(古処誠二) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ふたつの枷」古処誠二
評価:
古処 誠二
集英社
¥ 1,575
(2010-07-26)
Amazonランキング: 527008位

日本兵が陥った隘路とは?戦地の法則とは?つきつけられた選択とは?一兵士が抱く感情・判断・意志を、冷静な眼差しと丹念な描写で浮き彫りにする、体験記でも戦記でもない、古処誠二の戦争小説最新作。
「ワンテムシンシン」「帰着」「スコールに与えられた時間」「死者の生きる山」

短編が4編。全部戦争小説です。今回は短編集なのもあってかあんまり話に入り込めないまま読み終わった感じ。なので上手く感想が出てこない…。描写の緊迫感というか緊張感なんかは毎度思うけどすごいなあと思う。
| 2012.08.23 Thursday | 作家別・か行(古処誠二) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「七月七日」古処誠二
評価:
古処 誠二
集英社
¥ 1,680
(2004-09-24)
Amazonランキング: 743323位

日系二世の語学兵の苦悩を描く戦争長編。
日本人と同じ顔、同じ言葉を喋るがアメリカのために戦う日系二世の語学兵、ショーティの栄光なき孤独な戦い。アメリカ人以上にアメリカ合衆国への忠誠を要求される日系人の苦悩を描く力作戦争長編。
今回はサイパンが舞台で、主人公は米軍に所属する日系二世のアメリカ兵。つまりアメリカ側目線での話でもある。若干読みにくいなあと思う所もあったけれど、戦場の描写とかはさすがだなあと思う。
二世が主人公だから、アメリカ軍の兵士の中には心の底からショーティの事を信用しているわけでもない人がいたり、日本人からは裏切り者のように見られたり、そういう精神面でのすり減り具合も話が進むにつれて、どんどん限界になっていくようで、後半は先が気になってページが進んだ。
自分が殺してしまった人たちを、探している人を目の前で見るのはかなり残酷だよなあと思ったり。本当の事を本人に言えるわけがないけれど、すべてを話してすっきりしたいという思いもあるだろうし。何だかどっちにも残酷だなあ。
| 2011.08.04 Thursday | 作家別・か行(古処誠二) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「敵影」古処誠二
敵影
敵影
古処 誠二

本当は存在しない敵の姿を、なぜ人は必死になって追い求めるのだろう。

昭和二十年八月十四日、敗戦の噂がまことしやかに流れる沖縄の捕虜収容所で、血眼になって二人の人間を捜す男の姿があった。一人は自らの命の恩人、女学生の高江洲ミヨ。もう一人はミヨを死に追いやったと思われる阿賀野という男。男の執念の調査は、やがてミヨのおぼろげな消息と、阿賀野の意外な正体を明らかにしていく。
★★★
古処さんおなじみの戦争小説です。舞台はまたもや終戦間際の沖縄。
終戦直前の沖縄で捕虜となって、収容所に入っている近藤義宗。野戦病院で自分の治療をしてくれた高江洲ミヨと、ミヨの死の原因になったとされる阿賀野という男を捜している。捕虜はほとんどが偽名を使っており、人をさがすのは難しい。
そんな中分かってくる阿賀野の意外な正体とミヨのこと。

相変わらず戦争小説としての部分とミステリーの部分もあって意外性がありおもしろく読めました。それでいて、日本兵たちの苦悩や苦しみ、そういうのもみっちり描かれてあって読み応えがありました。
| 2008.02.01 Friday | 作家別・か行(古処誠二) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「分岐点」古処誠二
分岐点 (双葉文庫 こ 17-1)
分岐点 (双葉文庫 こ 17-1)
古処 誠二

昭和20年夏、本土決戦に備えて中学生たちは陣地構築に動員された。度重なる爆撃にさらされ、飢えに苦しみながら辛い作業にあたる少年たち。そんななか一人の少年が指導下士官を殺した。人一倍敵愾心に燃え、大東亜戦争完遂の意気が高い13歳の皇国民は、なぜ歴戦の軍人に銃剣を向けたのか?戦争小説のリアル感とミステリーの臨場感が、稀有な融合を見せる傑作長編。――衝撃の結末は、深く胸を抉る。
文庫とはいえ新刊をわりとすぐに読めるのは、私にしては珍しいです。通学の読書用に手ごろな厚さの本を選んだら、これぐらいがちょうどいいんですよね。

普通の戦争小説かと思って読むと、ちょっと違います。戦争小説でありながらミステリー。ミステリーといっても、犯人は誰だかもうわかっていて(内容紹介ですでに書いてありますし)、どうしてそんなことをしたのかというのが、重要になっています。
主人公は中学生の対馬智。対馬は戦争というものに疲れきっていて、もう勝てることはないということを悟っている。
対馬と同級生の成瀬憲之は対馬とは正反対に戦争に勝てるんだということを頑なに信じている。そんな2人が軸になって話は進みます。

この時代の中学生っていうと、やっぱり偏った教育を受けていたんだなということがちょっと分かりました。そんな子供たちは戦争が終わってガラッと価値観が変わってしまった世の中を見て何を思ったんでしょうか…。対馬みたいな子はまだしもそれこそ成瀬みたいな子は本当に辛いんじゃないでしょうかね。いつだって振り回されるのは下の世代なんですよね。

古処さんの戦争小説は、読みながらいろいろ考えてしまいます。
あと、梅野と八重子を殺してしまう容赦の無さはさすがです。あの4人での夜のシーンが好きなだけに余計に辛かったです。
| 2007.10.30 Tuesday | 作家別・か行(古処誠二) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ルール」古処誠二
ルール
ルール
古処 誠二

終戦間近のフィリピン戦線。鳴神中尉がそこで見た“地獄”とは? 小隊は任務を遂行して生還することができるのか? ギリギリの極限状態で試される人間性を鋭く描く、衝撃の書き下ろし問題作!

私は文系なので学校で週に6時間日本史の勉強をしていて、そのうちの2時間は昭和からの歴史で、日本史のスペシャリストとか言われている先生に教わってます。この先生の授業は確かにすごいわかりやすくて、黒板はすごいゴチャっとしてるのに、話の内容はちゃんと頭の中に入っているというすごさ。そんな私はその先生が好きなので日本史Bの勉強はテスト前にかなりやりこんで、成績は私にしてはよかったりする。必死になって内閣の順番を覚えたりしたしな。違う先生が教えている日本史A(2年からの内容の続き)の成績とは大違い。
その日本史の授業で第2次世界大戦の内容になったとき、家に資料がたくさんあるらしい先生が極限状態になっている兵士たちがしたある行いについて書かれている内容(ちょっとネタバレっぽくなりそうなので濁してみた)の資料をくれて、それを読んだ私はすごい衝撃を受けました。他にも先生は細菌実験の資料もくれて、そっちにも衝撃を受けた。
そういうのがこの本読もうかなと思ったいきさつなんです。そういえば改めて思ったけど中学校の時とか戦争のことはほとんど勉強しないですよね。高校でめちゃくちゃ深く取り扱ってくれて何かこう、いろんなことの認識が改まった気がする。
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| 2006.09.17 Sunday | 作家別・か行(古処誠二) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「遮断」古処誠二
遮断
遮断
古処 誠二

置き去りにされた子供を捜して戦場を北上する。生きているはずがない赤子のために命を賭けたのは、なぜか。極限下で、人は何を「信じる」ことができるのか?

戦争小説を読むのはすごい久しぶりでした。その前に読んだのは中学生のときに友達に薦められて読んだ「ガラスのうさぎ」だったと思う。主人公と父親がこれから2人で暮らしていこうってときに米軍の機銃掃射で父親が死んでしまうシーンがあって、すごい悲しくて、怖かったのを覚えています。

今回の直木賞候補の中で何となく気になったので読んでみたんですけど、読んでよかったな。日本史の授業で戦争のこと習ってるので余計にいろいろ考えたのかも。去年の修学旅行で広島に行ったとき、原爆の被害にあった人の話を聞いたのだけれど、そのとき先生が「こうやって、実際に体験した人の話を聞けるのはお前らの世代が最後かもしれないんだからちゃんと聞いとけ。」と言った。それを聞いてあと20年とか30年もたてば戦争という悲惨な体験をした人は本当に少なくなるんだなあと改めて思った。だからこうして、本であったり映像であったり、何でもいいから、戦争の辛さとか悲惨さとかそういうのを考えさせる本があるのはいいことなんだろうなとこの本読んで思った。

ガンで死期が近い真市のもとに1通の手紙が送られる。その手紙を読みながら真市は昭和20年5月の沖縄での出来事を思い出す。
逃亡兵の真市は幼馴染のチヨと一緒に4ヶ月のチヨの子供を捜すため沖縄を北上する。
途中で片腕片脚の少尉も加わり、3人の信じるものは違うけれど、それぞれの思いを抱えて北上していく。真市は少尉の立場を利用するし、少尉は動けない自分の足代わりに真市を利用する。

少尉の言ってた靖国の話は何か考えさせられた。ただ何となく靖国の参拝はだめなんじゃないの?とか考えていたんだけど、何かそんな単純な話ではないんだなあ。
真市がたどりついた幸せは、とても寂しく感じた。感じたけれどそれが真市にとっては本当に幸せなんでしょうね。

200ページぐらいの話の中に極限状態の人間の心理や罪とかそういったものが無駄なく書いてあって一気に読んだ。この本が直木賞取ってもよかったんじゃないかな。
| 2006.07.25 Tuesday | 作家別・か行(古処誠二) | comments(0) | trackbacks(1) |