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 「A2Z」山田詠美
A2Z
評価:
山田 詠美
講談社
(2000-01)
Amazonランキング: 688398位

私たち、同じ分量の夜と昼。
男の部屋に通い始めることは、記憶に新たなマップを刻むこと。編集者夏美と郵便局員成生の、とびっきりの恋物語が今始まった!

文芸編集者澤野夏美の勤める会社の向い側にある小さな郵便局、お仕着せの制服でうつむく成生と目が合った瞬間──
恋人の存在を打ち明ける夫一浩への複雑な思い、夏美に心を寄せる新人作家永山翔平との仕事への情熱、たった26文字にこめられた、大人の恋の全て
夫婦が揃って恋人を作っているという話。よくよく考えると凄い設定だけど普通に読めてしまうのが面白い。恋人はいるけど、夫婦関係やパートナーとしてもお互いの存在は特別で戻ってくる場所、みたいになっている。秀美が出てくるのが懐かしく感じられた。
| 2016.06.10 Friday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(1) |
 「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」山田詠美
評価:
山田 詠美
幻冬舎
¥ 1,512
(2013-02-27)
Amazonランキング: 20387位

ひとつの家族となるべく、東京郊外の一軒家に移り住んだ二組の親子。澄生と真澄の兄妹に創太が弟として加わり、さらにその後、千絵が生まれる。それは、幸せな人生作りの、完璧な再出発かと思われた。しかし、落雷とともに訪れた“ある死”をきっかけに、澄川家の姿は一変する。母がアルコール依存症となり、家族は散り散りに行き場を失うが―。突飛で、愉快で、愚かで、たまらなく温かい家族が語りだす。愛惜のモノローグ、傑作長篇小説。
親の再婚で家族となった澄川家。しかし長兄の澄生が雷に打たれて死んでしまってから、母親はアルコール依存症となってしまい、それまでの生活とは変わってしまう。自分にとって身近な人がいなくなってしまってから、その不在をどのようにして受け入れていくのかって話なのかな。母親は受け入れられなくて酒に逃げてしまったけど、母親がそうなったせいで他の家族は受け入れて変わっていくしかなくなってしまった感じが切なくもあった。
それでいて最終的には良い感じに終わっているのは良かった。
| 2015.08.26 Wednesday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ジェントルマン」山田詠美
評価:
山田 詠美
講談社
¥ 1,470
(2011-11-26)
Amazonランキング: 21063位

眉目秀麗、文武両道、才覚溢れるジェントルマン。その正体―紛うことなき、犯罪者。誰もが羨む美貌と優しさを兼ね備えた青年・漱太郎。その姿をどこか冷ややかに見つめていた同級生の夢生だったが、ある嵐の日、漱太郎の美しくも残酷な本性を目撃してしまう。それは、紳士の姿に隠された、恐ろしき犯罪者の貌だった―。その背徳にすっかり魅せられてしまった夢生は、以来、漱太郎が犯す秘められた罪を知るただひとりの存在として、彼を愛し守り抜くと誓うのだが…。比類なき愛と哀しみに彩られた、驚愕のピカレスク長篇小説。
これはざっくり言ったらBLのくくりに入る話なので、山田詠美こういうのも書くんだなとちょっとびっくりした。
高校の同級生の夢生と漱太郎、圭子は20年以上経った現在でも繋がりがある。漱太郎は高校時代から今まで誰にでも優しい紳士的な人だと言われており、夢生と圭子はそんな漱太郎を胡散臭く思っていた事をきっかけに親友になる。ある時夢生は、漱太郎が教師を襲っている場面を見て彼の裏の顔を知り、漱太郎も夢生がゲイである事を知り、それ以来夢生は漱太郎の事を好きになる。

そんな夢生と漱太郎を中心とした話なんだけど、紳士とか言われている漱太郎が一番やっている事がえげつないし、一番狂っている人だと印象。漱太郎によって人生狂わされちゃっている人が多いし、そのせいで貴恵子とシゲの悲劇も起こったんだなあと思うと、やっぱり漱太郎はおかしいと思うなあ。圭子の心情は語られないけど、彼女の事を考えると結構切ないなと思う。ずっと夢生と親友やっていたのを考えると、余計に思う。
最後のシーンは痛そうだなと思いつつ読んだ。結構えげつない話なんだけど、山田詠美の文章の綺麗さもあって、私は割と好きな話だった。でも読む人を選ぶ本だと思う。
| 2012.10.23 Tuesday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「放課後の音符」山田詠美
評価:
山田 詠美
新潮社
¥ 420
(1995-03)
Amazonランキング: 41303位

大人でも子供でもない、どっちつかずのもどかしい時間。まだ、恋の匂いにも揺れる17歳の日々―。背伸びした恋。心の中で発酵してきた甘い感情。片思いのまま終ってしまった憧れ。好きな人のいない放課後なんてつまらない。授業が終った放課後、17歳の感性がさまざまな音符となり、私たちだけにパステル調の旋律を奏でてくれる…。女子高生の心象を繊細に綴る8編の恋愛小説。
「Body Cocktail」「Sweet Basil」「Brush Up」「Crystal Silence」「Red Zone」「Jay-Walk」「Salt and Pepa」「Keynote」

再読。山田詠美の著作の中ではかなり好きな本です。ベスト3には余裕で入るくらい好きかもしれない。
物語の語り手の少女たちに名前はなく、恋愛に対して奔放と言うか、自由な恋愛をしているクラスメイトや先輩たちの恋を見ている目線で語ると言う形式。これは中高生の子を意識している本なので、読者はこの語り手たちと同じ目線で作中の人物のストーリーを追っていくという感じ。それは、語られている少女たちのように早く恋愛で色んな経験をした方が良いというのではなくて、自分の中で準備をしっかりしてから素敵な恋をする、というメッセージでもあるなあと思う。私もこれを初めて読んだのは高校生の時で、再読するにあたって自分もあれから歳を取ったし、今読んでも何にも感じないかなあと思っていたのですが、読んでみたらまだ普通に語り手の女の子の目線に自分はいるんだなあと感じて、ちょっとだけ愕然としてしまったり。

私の印象に残るシーンはBrush Upの最後、「とりあえず、心の恋から始めなくてはいけないということだ」っていう文かなあ。
最後にこの本にまつわる思い出として最近ふと思い出したのが、大学の時に友達とこの本の話をしていて、「Keynote」のある台詞に同感して自分はまだ恋は出来ないと話していた子がいて、何となく覚えていたんだけど、最近その子に結婚が決まり、時の流れを感じてしんみりしました。
| 2012.08.08 Wednesday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「タイニーストーリーズ」山田詠美
評価:
山田 詠美
文藝春秋
¥ 1,400
(2010-10-28)
Amazonランキング: 26637位

甘かったり、苦かったり、怖かったり。最高の日本語の使い手が腕によりをかけた、二十余篇の恋愛がつまった宝石箱のような短篇集。
「マーヴィン・ゲイが死んだ日」「電信柱さん」「催涙雨」「GIと遊んだ話(1)」「百年生になったら」「宿り木」「モンブラン、ブルーブラック」「GIと遊んだ話(2)」「微分積分」「ガラスはわれるものです」「LOVE 4 SALE」「紙魚的一生」「GIと遊んだ話(3)」「ブーランジェリー」「にゃんにゃじじい」「涙腺転換」「GIと遊んだ話(4)」「クリトリスにバターを」「420、加えてライトバルブの覚え書き」「予習復讐」「GIと遊んだ話(5)」

本屋でサイン本を見つけてしまい、思わず購入。短編集なんだけど、連作短編とかではなく一つ一つで完結している話だったので、ゆっくり読み進めました。短編でも読み終わった後の余韻がかなりあるのが山田詠美だなあって感じ。短編集は風味絶佳以来かと思うのだけど、やっぱりいいなあと思った。私は電信柱さんが好きだった。
| 2011.04.07 Thursday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「学問」山田詠美
評価:
山田 詠美
新潮社
¥ 1,575
(2009-06-30)
Amazonランキング: 5461位

東京から引っ越してきた仁美、リーダー格で人気者の心太、食いしん坊な無量、眠るのが生き甲斐の千穂。4人は、友情とも恋愛ともつかない、特別な絆で結ばれていた。一歩一歩、大人の世界に近づいていく彼らの毎日を彩る、生と性の輝き。そしてやがて訪れる、それぞれの人生の終り。高度成長期の海辺の街を舞台に、4人が過ごしたかけがえのない時間を、この上なく官能的な言葉で紡ぎ出す、渾身の傑作長篇。
60年代生まれの少年少女たちの物語。話は4章まであって、それぞれ小学校から高校まで徐々に成長していく。主人公の仁美、眠ることが大好きな千穂、食いしん坊のムリョ、みんなのリーダー格であるテンちゃんの4人が、それぞれとても魅力的で面白かった。
「学問」という内容は勉強とかそういうことではなくて、むしろ性への目覚めというか学びが多かった印象。後は子供たちがままならない、自分の思う通りには人生は動かないという気付きなのかなと思った。
テンちゃんは完璧に見えたけれど、終盤での涙に、今までの山田詠美の描くヒーローとは違うなと思った。とても人間味がある人物たちだと思う。また、各章の間には、登場人物の死亡記事が書かれていて、その亡くなる年齢とか見ると、やっぱりそれぞれに年齢も違っていて、死というものの存在を感じ取る事が出来ると思った。
| 2010.01.31 Sunday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「快楽の動詞」山田詠美
評価:
山田 詠美
文藝春秋
¥ 420
(1997-04)

知性とセックスは両立するのか?ブンタイって一体何なんだろう?なぜ女は「いく」「死ぬ」なんて口走るのか?奔放きわまる文章と、繊細緻密な思考によって日本語と日本ブンガクの現状を笑いのめす。はたして小説は肉体の快楽にどこまで迫れるか。深遠かつ軽妙、そして抱腹絶倒のクリティーク小説集。
「快楽の動詞」「否定形の肯定」「駄洒落の功罪」「逆説がお好み」「文体同窓会」「口の増減」「ベッドの創作」「不治の快楽」

小説といっていいのかよく分からない本でした。とりあえず文体についての本でした。文体の同窓会とか文体の対談とかそういうのだったり、普通の物語なんだけど、言葉についての思考とかが描かれていたりした。
1話が短いからすぐに読めるけど、ちょっと頭を使ってもっとじっくり考えてみたくなるような話でした。個人的にはコメディタッチな「否定形の肯定」が面白くて好きでした。
| 2009.12.11 Friday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「PAY DAY!!!」山田詠美
評価:
山田 詠美
新潮社
¥ 1,575
(2003-03-25)

ペイ・デイ、給料日。それは、何があろうと、ほんのちょっとだけ、みんなが幸せになれる日―。双子の兄と妹は高校生。ちょっと不器用、でも誠実に生きている二人に訪れる、新しい出会い。別れ。恋。家族の問題。そして、大切な人の死…。ゆったりと美しいアメリカ南部を舞台に、様々な生が織り成されていく、堂々たる長編小説。
ロビンとハーモニー、高校生の双子の兄妹の目から見たニューヨークの9.11という話。
この中ではロビンとハーモニーのお母さんがこの事件に巻き込まれ亡くなってしまいます。彼らはその中で、母親を待ちながらごく普通に生活を続けていく。9.11が、重大な事件として描かれているけれど、基本はロビンとハーモニーの成長物語であった。彼らは恋をして、失恋をして、進路に悩むその姿は本当に普通の少年少女のようでした。
| 2009.10.09 Friday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「無銭優雅」山田詠美
無銭優雅
無銭優雅
山田 詠美

「心中する前の日の心持ちで、つき合って行かないか?」 人生の後半に始めたオトコイ(大人の恋!?)に勤しむ、42歳の慈雨と栄。ふたりは今、死という代物に、世界で一番身勝手な価値を与えている。書き下ろし長篇。
運命的に出会った(栄に言わせると)慈雨と栄。心中する前の日の心持ちで付き合っていこうということで始まった42歳からのオトコイ(大人の恋)の行方は。
40代のくせして妙に子供っぽい栄や慈雨のキャラクターが魅力的だった。年を取ってもいつまでもこんな恋愛が出来たら幸せかも。
晴美や慈雨の姪っ子2人など、周りのキャラクターも魅力的ないいキャラクター。登紀子辺りが山田さんの小説によく出てくるタイプかな。

話の随所に挟まれる文学作品の一節もおもしろい試みだと思う。全部読んだことのないのだったし、ほんの少しだけの引用なのにどんな話か気になって読みたくなったのがちらほら出てきました。今度探してみようかな。
| 2007.05.29 Tuesday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨」山田詠美
ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨 (新潮文庫)
ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨
山田 詠美

視線が交わされ、二人の愛は始まる。メイクラブまでは一瞬だった。クラブ歌手キムと黒人兵スプーン。溜息だけの会話、肌に溶け込む肉体、男の刻印が女に押され、狂おしい愛が二人を包む「ベッドタイムアイズ」。黒人ピアニストが奏でる愛と復讐の旋律「指の戯れ」。愛し始めた黒人中年の連れ子に翻弄される女の憎悪と慈愛「ジェシーの背骨」。デビュー作を含む著者初期の輝かしい三編。
「ベッドタイムアイズ」「指の戯れ」「ジェシーの背骨」

山田詠美さんの初期の短編を再読しました。「トラッシュ」を読もうと思ってたので先にこっちを読んだのですが、図書館で本を借りてきたので先延ばしになってしまいました。このままずるずる先延ばしになってしまいそうですが…。

発表された当時は結構衝撃的だったようですが、今の時代に読むと特になんとも思わないかな。珍しいのはどの話も日本人女性と黒人男性の恋愛という点でしょうか。

「指の戯れ」はかつていいようにもてあそんで、捨てた男に再会してその男に復習される話。最初読んだ時はラストにびっくりしました。
「ジェシーの背骨」はだんだんと通じ合っていくココとジェシーがある事件でまた亀裂が入ってしまったのに、すごいハラハラした。しかし、あれはジェシーもやりすぎだよな(笑)。人間の体で重要な背骨、憎しみを受けて育ったジェシーの背骨には憎しみが詰まっているのか、それとも愛が詰まっているのか。タイトルがうまいなあと思った。

詠美さんの初期の小説はタイトルに体の一部が入ってるからなのか心の動きもそうだけど、体の動きというものにも注目してしまいます。
| 2007.05.06 Sunday | 作家別・や行(山田詠美) | comments(0) | trackbacks(0) |
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