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 「終業式」姫野カオルコ
評価:
姫野 カオルコ
新潮社
(1999-03)
Amazonランキング: 952191位

高校3年生だったあのころ、学校生活はきらめいていた。やがて、卒業仲良し男女4人組も、別々の道を歩みだした。それから20年。疎遠になったり、急接近したり。それでも、折々の手紙だけは欠かさなかった。行間から溢れだす秘めたる思い…。葉書、便箋、FAX、案内状、投函できなかった封書など、全編を手紙で構成。もう若くはない年頃になるまで、同級生4名が織りなした、波瀾万丈の恋愛タペストリー。
手紙形式で展開していく話。登場人物が高校生〜大人になっていくまでの10数年を、出した手紙や出せなかった手紙なんかを交えつつ話が進んでいった。具体的にこんな事があったというような詳細はないんだけど、やり取りや手紙の書き手の気持ちからこんな事があったんだというのを予想していく感じが面白かった。
読み返すのが恥ずかしいけど自分がもらった手紙を読みたくなった。
| 2014.05.11 Sunday | 作家別・は行(姫野カオルコ) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「昭和の犬」姫野カオルコ
評価:
姫野 カオルコ
幻冬舎
¥ 1,680
(2013-09-12)
Amazonランキング: 7381位

姫野さんの作品は最初はよく頭に入ってこないのだけど、慣れてくるとどんどん味わい深くなる作風だよなあと思う。不幸なわけではないけれど、特別に幸せでもない人たちの些細な幸せを描写していく作風なのかなと最近分かってきた。
これもイクの半生を犬と絡めつつ描写していく話。難しい両親の元で成長したのに自分は恵まれていると思うイクには不思議な感動を覚える。当時の流行なんかも下に説明されていたりして結構親切な作りだなと思った。
| 2014.03.21 Friday | 作家別・は行(姫野カオルコ) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「受難」姫野カオルコ
評価:
姫野 カオルコ
文藝春秋
¥ 557
(2002-03)
Amazonランキング: 26781位

修道院で育った汚れなき乙女フランチェス子のオ×××に人面瘡がデキた!「お前はダメ女だ」と朝な夕なに罵倒する人面瘡を、けなげにも“古賀さん”と呼んで共同生活をするフランチェス子の運命やいかに?極北の笑いと奇想天外な物語の裏に、現代人のジェンダーを見つめる醒めた視線が光る、著者の代表作。
設定は下品だけど、これ結構好きな話だった!
幼少期を修道院で過ごしたフランチェス子は、男性と話すと相手を我に返したりしてしまい、誰とも交際した事のない女性。ある日フランチェス子の女性器に人面瘡が出来てしまい、しかもその人面瘡は言葉を話し、女としてお前はダメなのだ!とフランチェス子をののしる。フランチェス子は人面瘡に古賀さんと名前を付け、2人の奇妙な共同生活が始まる。
古賀さんとフランチェス子のあけすけなやり取りは面白いし、それぞれの考えも結構深いというか、私もあーこれ分かると思える感じで興味深かった。付き合う2人には余計な会話は無い、みたいな古賀さんの主張にはなるほどと思ったし。終盤、フランチェス子が女としての自分を完全に諦めていると知った時の古賀さんの反応とかすごく好きだった。
ラストはまさかの展開だったけど、陽だまりの彼女の前代未聞のハッピーエンドというフレーズにピンとこなかったのだけど、むしろこれこそ前代未聞のハッピーエンドなんじゃないのと思った。
| 2013.12.04 Wednesday | 作家別・は行(姫野カオルコ) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「蕎麦屋の恋」姫野カオルコ
評価:
姫野 カオルコ
角川書店
(2004-09-25)
Amazonランキング: 914097位

秋原健一、四十三歳、ふつうの会社員。波多野妙子、OLを辞めた三十歳。それぞれに過去の小さくも苦い思いを抱えた男と女は、通勤の京浜急行で出会い、途中下車した駅の蕎麦屋でせいろをすすり、ただテレビを観る。淡く、不思議な甘さに包まれながら—。爽やかな感性の触れあいを描いた表題作他二編収録。日常に潜むふとした喜びやせつなさを掬い取った可憐な短編集。
「蕎麦屋の恋」「お午後のお紅茶」「魚のスープ」の3編。

姫野さんの作品は独特な感じで妙に癖になる。長編はこてこてしているけれど、短編はあっさり風味な印象。表題作の「蕎麦屋の恋」に出てくる妙子の恋愛観とか独特なんだけど、分からなくもない感覚で結構好きだった。
「魚のスープ」で出てくる結婚は共学みたいなものだってくだりも読んでいてなるほどと思った。私も別学だったので確かに珍しいというか、そういう風に思いそうだなあと感じた。
| 2013.11.05 Tuesday | 作家別・は行(姫野カオルコ) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「リアル・シンデレラ」姫野カオルコ
評価:
姫野 カオルコ
光文社
¥ 1,785
(2010-03-19)
Amazonランキング: 78618位

童話「シンデレラ」について調べていたライターが紹介された女性、倉島泉。長野県諏訪温泉郷の小さな旅館の子として生まれた彼女は、母親に冷遇され、妹の陰で育ったが、町には信州屈指の名家、片桐様の別荘があり、ふとした縁で、松本城下の本宅に下宿することになる。そこで当主の一人息子との縁談がもちあがり…。多くの証言から浮かび上がってきた彼女の人生とは?不況日本に暮らす現代人にこそ知ってほしい、新たなるドキュメント・フィクション。
倉島泉という、一人の女性の人生や人柄を、彼女と関わった人たちに話を聞くという形式から辿っていく物語。

泉には、1歳年下の妹・深芳がいて、深芳の体が弱かったために、泉はほとんど両親にかまわれずに育った。幼い頃の泉は、その寂しさを自分で秘密基地を作ってまぎらわしており、やがて大きくなった泉は、自分のアイディアで実家の旅館「たから」を大きくしていく。
でも泉は、自分のアイディアも他の人のイメージが良くなるようにするものだったり、結婚していた夫を他の女性に取られても、取り乱すことなく対応して逆に何かあるんじゃないかと周囲に思われたりする。そのあげく、嫌なあだ名をつけられてしまってもごく普通に生活している。

何故、泉はここまで普通にしていられるのか、かなり不思議だったんだけど、すべては最後のシーンに象徴されているように思う。幼い泉がした3つの願い事の3つ目の願い。それはささやかな願いでありながら、切ない願いでもあると感じた。きっと泉は、ささやかであるけれども、確実に幸せだったんだろうなあと思う。幸せかそうでないのかは、周りが決める事ではなくて、自分で決める事であるのだから。
でも、それでも物語のシンデレラのように、どんでん返しを期待してしまった。
| 2010.10.19 Tuesday | 作家別・は行(姫野カオルコ) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「コルセット」姫野カオルコ
コルセット
コルセット
姫野 カオルコ

美しく爛れた人生には、退屈しかない。建設的で生産的な人生をいかに歩むかと考えたり努力したり自己を鼓舞したりするようなことは、働かないと食べてゆけない人たちがすること。―官能から始まった純愛、倒錯した被虐趣味、すれ違った片思い、南の島での三日間の邪淫。それすらも退屈しのぎ。硬質な筆致で描く、スノビッシュな階級小説。
「反行カノン」「フレンチ・カンカン」「三幕アリア」「輪舞曲」

ロンド形式というらしく、1話の最後が2話の最初に、2話の最後が3話の最初にといった感じでつながっています。でも、時間や場所もつながっているわけではなくて、なんとも不思議な感じでした。

上流階級な人々が主役の話なので。まるで遠い世界のように感じます。こんな息苦しい生活はいやだなあと思ったり…。
あと、あれです、全編濃厚でやらしい空気で満ちています。

気になるのはどの話にも出てきた藤沢さん。彼らは同一人物ではないんだろうなあとうのはわかるんだけど、やっぱり何か関係しているんでしょうか。めちゃくちゃ気になります。
個人的には「三幕アリア」が一番好きでした。
| 2007.09.05 Wednesday | 作家別・は行(姫野カオルコ) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ハルカ・エイティ」姫野カオルコ
ハルカ・エイティ
ハルカ・エイティ
姫野 カオルコ

ハルカは見合い結婚したが夫はまもなく出征。敗戦を迎え経済的理由から職業婦人となったことから、ハルカは女性として開花してゆく-。昭和の戦前、戦中、戦後をごく平凡に、だが常に前向きに生きた、一人の女性の物語。
戦前から戦中・戦後を生きるハルカという一人の女性を追った長編。姫野さんの話は相性がなかなかいいのでおもしろく読めました。
もともと私は昭和の歴史が好きで、高校のテストでも近代は結構いい点取れてました。平成生まれの私からしてみれば戦争とか違う世界のように思える(今でも世界では争いはあるけど)。でも私のおじいちゃんの世代とかではそれが当たり前にあったんだよなあと考えると不思議。母が言うには、おじいちゃんは戦時中フィリピンで食事だか医療だかをやっていたと聞いたことがある。そんな話を聞いても記憶の中のおじいちゃんが昔戦争で、戦っていたというイメージがわかない。

そんな私にとって、なかなかイメージがわかない時代を生きたハルカ。彼女は女学校に行き、淡い恋をして、教師にもなったが、お見合いで当たり前のように大介と結婚する。その時代にしてはすごく珍しい、優しい義父母と大阪で暮らし、大介も無事戦争で生き残る。
やがて子供が生まれるが、夫大介は浮気をする。そんな平凡な、だけど幸せなハルカの人生。

姫野さんらしい文章で、200X年との比較とか時々笑えるところがあった。
そして、この夫婦2人の雰囲気がよかった。ハルカの浮気を逆にスパイスにする大介。こんな夫なかなかいないと思う。ハルカの浮気が大介にばれた時の会話が素敵だった。
| 2007.06.06 Wednesday | 作家別・は行(姫野カオルコ) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「桃」姫野カオルコ
桃

姫野 カオルコ

許されぬ恋。背徳の純粋。誰もが目を背け、嫉妬し、傷ついた―。胸に潜む遠い日の痛み。苦みに癒される6つの物語。

「卒業写真」「高瀬舟、それから」「汝、病めるときも すこやかなるときも」「青痣(しみ)」「世帯主がたばこを減らそうと考えた夜」「桃」

「ツ、イ、ラ、ク」を読んで間がそんなに空いてないので、キャラクターが思い出せないとかそんなことはなく読めました。あとがきだと、「ツ、イ、ラ、ク」を読んで無くても大丈夫だと書いてあるけど、やっぱり先に読んでおいたほうがおもしろいと思う。「ツ、イ、ラ、ク」が好きな人のためのファンブックみたいな感じで楽しめるかも。

私は「ツ、イ、ラ、ク」の河村と隼子が好きなので「高瀬舟、それから」と「桃」がこの中じゃ一番よかった。高瀬舟のほうは長編で書かれてたシーンのその後なので、この後こんなことがあったんだー!って感じでドキドキしました。図書館にまだ返却してない(たぶん延滞してる)長編が家にあるので、そこのシーンをまた読み返したりしちゃいました。
「汝、病めるときも すこやかなるときも」の最後とか河村と隼子が好きな人ならちょっと嬉しくなる。えっ!ホントにそうなの!?という感じで。

その他の短編もどれもいいけど、「青痣(しみ)」を読むと、中学生のときの嫌な部分の自分を思い出して、景子の気持ちとかすごいリアルに感じた。中学生のときの嫌な自分は心のどっか奥のほうにしまいこんだのにふいに出てきてしまったような感じがしたよ。
でも、この話のラストもすごい好き。これを中学生の頃読んでたらどう思うんだろう。
| 2006.08.20 Sunday | 作家別・は行(姫野カオルコ) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ツ、イ、ラ、ク」姫野カオルコ
ツ、イ、ラ、ク
ツ、イ、ラ、ク
姫野 カオルコ

森本隼子、14歳。地方の小さな町で、彼に出逢った。ただ、出逢っただけだった。雨の日の、小さな事件が起きるまでは。苦しかった。切なかった。ほんとうに、ほんとうに、愛していた―。姫野カオルコの新境地、渾身の思いを込めて恋の極みを描ききった長編小説。

初めて読んだ姫野カオルコの本です。この本結構前から気になってたんですけど中々図書館で借りてきて読みませんでした。まあ、図書館行けばいつでも借りて読めるからなあ、みたいな気持ちで。それで読んだんですけどおもしろかった!もっと早く読んでりゃよかった。

最初は主人公たちが小学2年生の頃から始まり、主人公が誰なんだかわからない状態で進みます。でも、本読む前からこの本のメインは14歳の話だっていうのがわかってたので、この辺りはちょっと退屈でした。小学2年生ってこんなんだっけと思ったけど、自分のこと思い出したら、私小学2年のときから強い子に理不尽に荷物もちさせられたり、道に生えてたミニトマトみたいなの食えとか言われてたし、こんなもんかもしれない。

中学生になったときの性への目覚めはリアルに感じたなあ。中学生ってこんなんだったよと思い出した。隼子ほどじゃなくても早熟な子同級生にもいっぱいいました。部活でそういうのに興味津々な子がいて、私はその子からいろんな知識を教わったなあと、中学卒業して3年もたってないのに忘れかけてたこと思い出しました。そういえばその子は今結婚して、子供がいるらしいけど、どうしてるのかな。
隼子と河村だけでなく、隼子のクラスメイトたちの描写もかなり描かれていて、一番中学生っぽいと思ったのは太田と京美だった。他の女と付き合いだして、それがわかると早々に離れていく女。
三ツ矢の行動は恐ろしいと思った。ほんとに中学生かよ。

あと、笑える部分も多かった。マークシート方式のテストが突然出てきたり、作者のつっこみとか思わず笑ってしまった。
最後は意見がいろいろ分かれてるみたいだけど、私はあのラストでよかったなあと思います。
| 2006.08.10 Thursday | 作家別・は行(姫野カオルコ) | comments(0) | trackbacks(0) |