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 「だれかのいとしいひと」角田光代
評価:
角田 光代
白泉社
(2002-04)
Amazonランキング: 1045364位

7歳になる姪のチカは、私の彼の恋人気取りでおしゃれをしてきたし、彼とばかり手をつなぎたがった…。はっきりとした「恋愛」にはおさまらない微妙な感情を鮮やかに描く、新しい形の恋愛小説集。表題作ほか7編を収録。
「転校生の会」「ジミ、ひまわり、夏のギャング」「バーベキュー日和(夏でもなく、秋でもなく)」「だれかのいとしいひと」「誕生日休暇」「花畑」「完璧なキス」「海と凧」
私は角田さんの人物の妙に人間臭い部分があまり好きではなかったりするんだけど、この話ではあまりそういうのを感じなかった。「転校生の会」と「だれかのいとしいひと」、「誕生日休暇」あたりが印象に残って好き。誕生日休暇で自分が思ってもいない方向に物事が向かっていくのが少し面白かった。
| 2016.02.17 Wednesday | 作家別・か行(角田光代) | comments(0) | trackbacks(1) |
 「空中庭園」角田光代
評価:
角田 光代
文藝春秋
¥ 530
(2005-07-08)
Amazonランキング: 33236位

郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。でも、本当はみんなが秘密を持っており、それぞれが違う方向へ。異質でありながらも家族であるしかない、普通の家族に見える一家の光と影……ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景を描いた連作家族小説。第3回婦人公論文芸賞受賞。
「ラブリー・ホーム」「チョロQ」「空中庭園」「キルト」「鍵つきドア」「光の、闇の」の6編。

家族の間に隠し事はしない、をルールにしている京橋家。一見普通の家庭に見えるけれども家族それぞれに明かしていない秘密がある。家族一人一人を語り手にした連作短編。マナ、父親、母親、母方の祖母、父の愛人ミーナ、コウという順番。隠し事はしないとわざわざ決めている時点で後ろめたいものがあるって事なんだよなとしみじみ思う話だった。特に表題作の「空中庭園」は家族の始まりの話でもあるし、これを明かされたらみんなすんなりと受け入れるってわけにはいかないよなと思う。
娘のマナが出来るきっかけになったラブホテルの野猿が作中に頻繁に出てくるのも妙に滑稽な感じがした。マナがボーイフレンドと入った506号室に後にコウとミーナが来て、ミーナと父親が入った505号室に後にコウが同じ団地に住む子と入るって何か意味があるのかなと思ったけどよく分からなかった。

視点が話ごとに変わるものによくあるけど、主観と客観に変わるだけで登場人物の印象も大分変わるよなと面白かった。作中で一番ドロドロしたものを抱えているのは母親の絵里子だろうなあと思う。「鍵つきドア」で出てたけど、一見オープンに開かれているけれど、個人個人にまたドアがあって、それは閉じているみたいな話は誰でもそうだと思うんだけど、それを土地柄だとか、特別にしようとしているのはコウの子供っぽい部分でもあるのでしょうか。
| 2013.06.29 Saturday | 作家別・か行(角田光代) | comments(0) | trackbacks(1) |
 「八日目の蝉」角田光代
評価:
角田 光代
中央公論新社
¥ 1,680
(2007-03)
Amazonランキング: 1751位

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるのだろうか。理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。角田光代が全力で挑む長篇サスペンス。
不倫相手の奥さんが産んだ子供を一目見たいと家に入り込み、そのまま連れ去ってしまった希和子。友人の家、見知らぬ人の家、怪しげな新興宗教・エンジェルホームの本部と、様々に転々としながら逃げ続ける希和子と薫と名づけた赤ん坊。しかし、薫が4歳の時に希和子は捕まる。月日が流れ、本来の家族の元へ戻った恵理菜(薫)は、どうして自分だったのか、どうして家族はこうなってしまったのかと悩む。そこにかつてエンジェルホームで共に育った千草がやってくる。

1章は希和子の視点での逃避行が、2章は恵理菜(薫)の視点で薫のそれからの様子と現在が描写されている。ひっさびさに角田さんの小説読んだけど、やっぱり上手いなあ。先が気になりどんどん進む。子供を連れ去った希和子は薫に愛情を抱くが、本来の家族の元へ戻った後は、本当の母親はどこかぎこちない。こういうのを見ると、愛情ってどこから来るのだろうと思う。この場合は誘拐されているから、仕方がないにしても中にはお腹を痛めて産んだから愛情が芽生えるわけでもない人だっているんだよなあと改めて思えたり。自分ではない誰かに、この子のためならって思えれば、自分の子であろうがそうでなかろうが愛情って生まれるのかな。うーん。上手く言えないですが。

家でも学校でも何となく居場所のない感じの恵理菜が、千草と会う事で気兼ねなく話せるようになっているのが良かったなあと思う。二人はいい友達になれそうだ。
希和子が誘拐に至るまでの過程が、実際に起った事件を明らかにベースにしているのが分かってしまうのは、どうなんだろうと思った。
| 2011.05.12 Thursday | 作家別・か行(角田光代) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「人生ベストテン」角田光代
人生ベストテン (講談社文庫 か 88-8)
人生ベストテン (講談社文庫 か 88-8)
角田 光代

四十歳を目前にして、人生のイベントベストテンを自虐的に並べてみれば、我が身には二十五年間、なにも起きてはいないのだ。年相応の達成感も充実感もない日々に愕然としながら、私は岸田有作に会いに行く。十三歳の夏に恋をした相手に――どこにでもある出会いが生み出す、おかしくいとしいドラマ、全六篇。
★★★
「床下の日常」「観光旅行」「飛行機と水族館」「テラスでお茶を」「人生ベストテン」「貸し出しデート」

これ書いてるのは7月ですけど、読んだのは6月です。6月なのに角田光代を読んでいました。
絶対ふさぎこむなーと思っていたけれど、主人公の年代とかが遠かったからなのか、そんなに鬱にならずにすんだ。でも、これは落ち込んだ時期に読むと更に落ち込むかも。だって文庫の表紙がひざを抱えている女の人?ですよ。これふさぎこむよ。

中身のほうですが、どの話の主人公たちも適度に毒を吐き、角田作品だなあと思う。
でも、それはどいつも人間らしいと言うことなんだろうな。ある意味ではリアルなキャラクターたちでした。
表題作の「人生ベストテン」が、どこか間抜けなオチを残していて、面白かった。50万以上する鍋セットとかすごすぎる!
人生で輝いていたと思っている時期の、恋愛にとらわれる女。見ていてうわーって感じなんだけど、実際はそんな感じになっちゃうものなんでしょうかね?
| 2008.07.05 Saturday | 作家別・か行(角田光代) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「Presents」角田光代
Presents
Presents
角田 光代,松尾 たいこ

この世に生まれて、初めてもらう「名前」放課後の「初キス」女友達からの「ウェディングヴェール」子供が描いた「家族の絵」―小説と絵で切りとった、じんわりしあわせな十二景。
「名前」「ランドセル」「初キス」「鍋セット」「うに煎餅」「合い鍵」「ヴェール」「記憶」「絵」「料理」「ぬいぐるみ」「涙」

女性が一生のうちで貰うものを人生をたどるように順番に載せている。再読なんですが、最初読んだときはどうもしっくりこなかったような記憶がありました。でも改めて読むとひとつひとつの話が心地よく入ってきてすごくよかった。この本は角田さん入門には最適かと思います。

私の人生だとまだ鍋セットぐらいですかね。私も今までの人生でたくさんのものをいろんな人にもらったんだろうなあと思う。それが記憶に残っているものでも、残っていないものでも、形のあるものでも、形のないものでもとにかくいろいろ。
そして私もまた誰かに何かをあげているのかなあと思った。

私は一人暮らしはじめたばっかりなので「鍋セット」の主人公に一番共感した。親にずっといて欲しいとか、すごく痛いほどわかる気持ちでした。
最初の「名前」も読んでて感慨深かったです。私は自分の名前が好きじゃなくて、おまけに苗字も漢字は読めない人が多いし、発音しづらいしでもう、自分のフルネームが好きじゃない時がありました。でも、私の親もこの主人公達のようにたくさん悩んだのかなあと思うと、この名前も少しは好きになれそうな気もする。

読みながらいろんなことを思い出せる小説だった。自分の中で何か大きなことがあるたびに読み返したい本です。
| 2007.04.21 Saturday | 作家別・か行(角田光代) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「太陽と毒ぐも」角田光代
太陽と毒ぐも
太陽と毒ぐも
角田 光代

大好きなんだけど、どうしても我慢できないことがある。でも、やっぱり好き-。だれかを好きになって、相手もこちらを好いてくれて、とりあえずハッピーエンド。そのハッピーエンドからだらだら続くしあわせな恋人たちの日常。
「サバイバル」「雨と爪」「お買いもの」「57577」「昨日、今日、明日」「100%」「共有過去」「糧」「二者択一」「旅路」「未来」

再読。恋人のことは好きだけどどうしても許せない、気に食わない部分がある。好き、だけど嫌い。だけどやっぱり好き。
そういった恋人達のダラダラとした日常を綴った短編集。

これ読んで相手には気に食わないけど自分はいいと思ってることが、私にもあるのかなあと考えてみた。とりあえず、部屋が片付けられないところと本棚に入らないのがわかっていながら本を買い続けることかなあ…。
部屋が片付けられないとかきれい好きな男とは付き合えないなと、今改めて思いましたね。本棚も、買ってもどうせすぐにいっぱいになるのがわかりきってるので、引越し用に新しい本棚は買わなかった。教科書入ればいいんです。

タイトル見ただけでどんな人の話だったかが、なんとなく思い出せるのもこの本の特徴?かも。
そういえば私、これが初めて読んだ角田さんの本でした。装丁にひかれて何となく買ったのを思い出しました。改めて読むと角田さんっぽさが何となく出てた。身につまされるようなところもあるけど、続けて読みたくはない感じ。
| 2007.03.26 Monday | 作家別・か行(角田光代) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「キッドナップ・ツアー」角田光代
キッドナップ・ツアー
キッドナップ・ツアー
角田 光代

五年生の夏休みの第一日目、私はユウカイ(=キッドナップ)された。犯人は二か月前から家にいなくなっていたおとうさん。だらしなくて、情けなくて、お金もない。そんなおとうさんに連れ出されて、私の夏休みは一体どうなっちゃうの? 海水浴に肝試し、キャンプに自転車泥棒。ちょっとクールな女の子ハルと、ろくでもない父親の、ひと夏のユウカイ旅行。私たちのための夏休み小説。

ちょっとした思い出話になるのだけど、私が中学生の頃生徒が一冊本を読んで、その本をクラスのみんなに紹介する「ブックトーク」というのをやった。1年、2年とやった記憶がある。私は確か「窓ぎわのトットちゃん」と「夏の庭」を紹介したような気がする。普段は本を読みそうにもない男子が図書室に行って本を読むんだから何だかおもしろい。そのときにこの本をかっこよかったバスケ部の男子が紹介していたのを覚えています。ちょっと照れた感じに一生懸命発表してたけど、今思うと何かかわいらしいな。おもしろそうな話だなあと思って覚えていたのか、その頃から角田光代を知っていたから覚えていたのか、それともその男子が気になってたから覚えていたのか知らないけれど、とにかくそれから何となくずっと頭に残っていた。
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| 2006.05.12 Friday | 作家別・か行(角田光代) | comments(0) | trackbacks(1) |