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 「卒業」重松清
評価:
重松 清
新潮社
¥ 662
(2006-11-28)
Amazonランキング: 21008位

「わたしの父親ってどんなひとだったんですか」ある日突然、十四年前に自ら命を絶った親友の娘が僕を訪ねてきた。中学生の彼女もまた、生と死を巡る深刻な悩みを抱えていた。僕は彼女を死から引き離そうと、亡き親友との青春時代の思い出を語り始めたのだが――。悲しみを乗り越え、新たな旅立ちを迎えるために、それぞれの「卒業」を経験する家族を描いた四編。著者の新たなる原点。
「まゆみのマーチ」「あおげば尊し」「卒業」「追伸」の4編。
卒業をテーマにした短編集。重松さんの作品は病気とかいじめとかテーマが明るくはないので、最近は積極的に読まなくなっていたけれど、やっぱり読むとじーんとするし面白い。あおげば尊しの写真撮ろうとした生徒にはイラっときたけど、子供なりに純粋に疑問で色々考えているんだなと分かるし、追伸のお互いに素直に歩み寄れない母子にじれじれしたけど、意地の張りっぷりも分かるし人物の感情が凄く等身大なんだなと感じる。読後もそんなに悪くないのも良いなあと思う。やっぱり重松さん良いなあと再確認した1冊。
| 2013.08.22 Thursday | 作家別・さ行(重松清) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「青い鳥」重松清
青い鳥
青い鳥
重松 清

村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。でも、先生は、授業よりもたいせつなことを教えてくれる。いじめ、自殺、学級崩壊、児童虐待…すべての孤独な魂にそっと寄り添う感動作。
★★★★★

「ハンカチ」「ひむりーる独唱」「おまもり」「青い鳥」「静かな楽隊」「拝啓ねずみ大王さま」「進路は北へ」「カッコウの卵」

先に映画を観ていたので、青い鳥の話だけは内容を知っていました。
吃音で、うまくしゃべれない村内先生は、いろんな学校に臨時教師として出向き、傷ついた誰かのそばにいる。何かできるわけではないけれど、そばにいて大事なことしかしゃべらない。そのうち、村内先生の一生懸命な言葉に、生徒たちも大事なことに気付いていく。いい話でした。思わず涙が出てくるエピソードもありました。

「ハンカチ」
クラスでのある出来事がきっかけで、学校内では全く話すことができなくなった女の子の話。こんなクラスは嫌だなあ。何か「友情の誓い」とかあっても過剰すぎてどうかなあと思った。真澄美ちゃんはいい奴だなとも思った。

「ひむりーる独唱」
担任の先生を刺して少年鑑別所に入っていた少年が、学校に復帰したけれどうまくなじめない話。
いきなり重いなあ。先生を刺して田舎にいる間に今度はカエルをたくさん殺しはじめた少年。草野心平の詩集がいい感じに絡み合っていてよかったかも。

「おまもり」
同じ部活の子が事故にあい、ぶつかった相手のことを犯人だと言いなじり続けている。でも、杏子の父親は12年前に車の事故を起こして相手を死なせてしまっていた。
この話は好きです。12年間かかさずに遺族の家を訪れて謝罪を続けてきた父親に、最後の羊羹が大ぶりの柿になったシーンでよかったねと思った。

「青い鳥」
これは映画で観た話でした。いじめで自殺未遂を起こして転校していった生徒の机に、毎朝おはようのあいさつをする村内先生。これは罰なんだと思う園部くんに対し、先生はみんなが彼のことを忘れるのはひきょうなんだと言う。彼はみんなのことを忘れることが出来ない、だからみんなも覚えていなくちゃダメなんだと。何か深いなあと思った。いい話でした。

「静かな楽隊」
私立の中学の受験に失敗したあやちゃんは、公立中学を少しバカにしているような感じで、先生に対しても嫌な感じで突っかかっている。このあやちゃんの心情も分からなくもないけど、やっぱりやってることが子供っぽくて中学生だなあと思えた。
主人公の子の小学校の時の回想に出てくる先生もなかなかひどい人だと思った。

「拝啓ねずみ大王さま」
父親の自殺で転校したけど、転校先でなじもうとしない洋介。
この話もよかったなあ。父親の自殺について考えていて、転校してしまったからなりたいものになれるかも分からなくて、クラスの人たちをどこか冷めた感じで見ていて。村内先生の間に合ってよかった、というセリフが胸にしみてきました。ラストのシーンも好き。

「進路は北へ」
エスカレーター式の学校に通っているのに、高校受験をして学校を変えようとしている少女の話。何かこのかたくなな感じとか子供っぽいなあとも思うけど、覚悟がかっこいいなとも思った。担任の先生も結構いい奴で好き。

「カッコウの卵」
これだけ主人公が中学生ではなくて、かつての村内先生の教え子で、今は働いている青年が主人公だった。偶然村内先生を見つけた彼は、今の自分の家族を見てもらおうと先生に会いに行く。
親に愛されずに育った「カッコウの卵」の2人がたどる新しい道にジーンときた。

いじめや犯罪、暴力といった、重松さんらしいテーマがちりばめられているけど、子供と親ではなく、子供と教師というテーマなのがいつもと違うところでしょうか。
| 2009.04.03 Friday | 作家別・さ行(重松清) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「小学五年生」重松清
小学五年生
小学五年生
重松 清

★★★★
「葉桜」「おとうと」「友だちの友だち」「カンダさん」「雨やどり」「もこちん」「南小、フォーエバー」「プラネタリウム」「ケンタのたそがれ」「バスに乗って」「ライギョ」「すねぼんさん」「川湯にて」「おこた」「正」「どきどき」「タオル」

「小学五年生」っていうタイトルと表紙の印象からして、これもいじめがテーマなのかなあと勝手に思っていたら、違いました。
親の都合で転校してしまった子供、父親が亡くなってしまった子供、など変化に戸惑う少年たちの姿が描かれた短編集だった。ちょっと切なくなるような話が多かったかなあ…。

子供の力だけではどうにもならないもどかしさや無力感みたいなのも少し感じました。
個人的には「カンダさん」とか好きだった。
後は「もこちん」に出てくる女の子は無いだろーと思った。普通そんなこと聞けないだろと思っちゃいました。
でも、この年頃の女子の強さってのは、リアルな気がしました。

自分が小学五年生の時ってどんなんだったっけーと思い出してみたら、あんまりいい思い出がありませんでした。笑
軽く暗黒期な感じだったような…。自分にも確かに小学五年生の時代があったのに、あの頃の感覚は何となくしか記憶にないです。
いろんなことが分かり始めているような感じだけど、まだ何にも知らなかったっていう年代な気もする…。
ちょっとだけ懐かしくなったりしました。
| 2008.10.15 Wednesday | 作家別・さ行(重松清) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「きみの友だち」重松清
きみの友だち
きみの友だち
重松 清

友だち? 他人だよ、そんなの。でも特別な他人、大切な他人。嬉しいこと、つらいことがいっぱいあったから「友だち」の意味がわかった-。痛みや喪失を乗りこえ、少女たち、少年たちはやがて…。『小説新潮』掲載に加筆。
「あいあい傘」「ねじれの位置」「ふらふら」「ぐりこ」「にゃんこの目」「別れの曲」「千羽鶴」「かげふみ」「花いちもんめ」「きみの友だち」

連作短編で話によって主人公が違うけど、メインになってるのは小学4年生のときに事故で松葉杖がないとうまく歩けなくなってしまった恵美と、8歳年下の恵美の弟ブンちゃんの話。
恵美は事故にあって、「みんな」と「友だち」について考える。「みんな」でいるうちは誰とも友達にはならない、そう決めた恵美と友達になったのは、何をやってもドンくさい由香ちゃん。由香ちゃんは小さい頃から病気のために入退院を繰り返していて、クラスでもみんなから下に見られているような女の子。
それと交互に書かれているのは、恵美の弟ブンちゃんの友だちのこと。ブンちゃんの話では恵美は大学生になっていて、話のメインになっている少年達にそれぞれ印象的な言葉を言っている。
「花いちもんめ」から「きみの友だち」の流れには泣きました。最後にこうまとめてくるとは予想してなかった。

いやー、これいい話です。ぜひとも友人関係でいろいろ悩むであろう、小、中学生の皆さんに呼んでもらいたいですね。
重松さんの話ではいつものことですが、やっぱり泣きました。友達ってどういうのなんだろう、とかちょっと考えたりしました。
私は自分で言うのもむなしいけど友達は少ないです。中学生のとき、友達に私の友人関係は狭く深くって感じだよね、とか言われてちょっとムカついたりしたことがあったんですけど(それってお前友達少ないよなっていう嫌味かよ!とか思ってしまったんです)、これ読んでたら別に少なくたっていいじゃないか!と思いました。
そもそも私は若干人間不信ぎみなので、友達になりたての頃は全然打ち解けられなかったりします。付き合いが1年過ぎると完全に打ち解けます。だから、今年喋るようになった人とは未だに話すときいろいろ考えたりしちゃうんですよね。そういうのは直したいと思うんだけどねえ、なかなかうまくいかない。

それから読んでて思ったのは重松さんって何でこんなにも中学生の女子社会を理解しているんだろうってことです。堀田ちゃんみたいな子は中学生のときいたなあと思い出しました。はじかれて行き場がなくてこっち(めちゃめちゃ地味グループ)の方に来るんですよね。でも、こっちも邪険に出来ないんだけど、来られても困る…みたいな感じだったな。
高校生になって、あんなくだらない時代とはおさらばしたはずなのに、こう不意打ちに現れると意外とあの感じを覚えていて焦ります。
| 2006.12.09 Saturday | 作家別・さ行(重松清) | comments(2) | trackbacks(3) |
 「ナイフ」重松清
ナイフ
ナイフ
重松 清

だいじょうぶ、心臓はちゃんと動いてる。あたしは死んだりしない。自殺なんか、ぜったいにするもんか。生きていくっていうのは、つらいんだから。そうだよ、楽しいわけないんだ。いままでの生活のほうがおかしかったんだ。赤の他人に囲まれてるんだもん、つらくないわけがないんだから。(ワニとハブとひょうたん池で)

真司はまた泣き出した。今度は声もあげた。顔をくしゃくしゃにして、何度もかぶりを振った。妻も泣いていた。私も、泣いた。情けなく、せつない。けれど、ほんのわずかだけ、背負ったものの重さが消えていく心地よさを感じながら、私は人差し指をいつまでも吸っていた。(ナイフ)
「ワニとハブとひょうたん池で」「ナイフ」「キャッチボール日和」「エビスくん」「ビタースィート・ホーム」
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| 2006.10.31 Tuesday | 作家別・さ行(重松清) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「その日のまえに」重松清
その日のまえに
その日のまえに
重松 清

昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。それを不意に断ち切る、愛するひとの死―。生と死と、幸せの意味を見つめる最新連作短編集。

「ひこうき雲」「朝日のあたる家」「潮騒」「ヒア・カムズ・ザ・サン」「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」

2月に予約して待つこと4ヶ月。やっと回ってきてじっくり読んだし、土曜日にはもう返却しなきゃなんだけど、まだまだ手元に置いておきたい。でもまだ私の後ろに3人は待っているので手元にいつまでも置いておくわけにもいかないわけで土曜日にはきちんと返しにいきます。

4月に退職された先生が離退任式で重松清の「その日の前に」と「きみの友だち」がいいと紹介していたのを思い出した。高校生なので「きみの友だち」の方がメインだったし、私の友達は「本の紹介されても別に読まない」とか言っていた気がするけど何となく今まで覚えていて、私も早く読みたいなあと思って、自分でも読んでみて学校の友達に是非おすすめしたいなあと思った。(しないけど)

死ぬことや生きることについてストレートに書かれていてあざといと思う人は思うかもしれないけど、私は読みながら(特に後半のほうなんか)すごい泣きました。ページ捲るたびに涙が出てくるのでなかなか進まなかったです。
「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」の連作にはその前にある3作に出てきた人が出てきていて、彼らのその後もちょっとわかる。そこでまたちょっと泣かされた。
私が一番泣かされたのは「その日のまえに」から続く連作より「ヒア・カムズ・ザ・サン」でした。高校1年生の男の子と癌を告知された母親の話。トシくんと立場が近いからここまで泣けたんだろうけど。もし自分がこの立場だったらどうなるんだろうと考えてしまった。そして、あっという間に日常は変わってしまうかもしれないんだと思った。
これ読んでる時に、私が一方的にちょっと知ってる人が事故で亡くなってしまった話を聞いたので余計にそう思った。何にも悪くないのに突然事故にあってしまうように、普通に生活していたのに突然病気になってしまうこともあって、それは私や、私の家族にも当然のように起こるかも知れない。もちろんそんなことは絶対に起こって欲しくないんだけど。
| 2006.06.22 Thursday | 作家別・さ行(重松清) | comments(0) | trackbacks(1) |
 「疾走」重松清
疾走 上疾走 下
疾走 上 疾走 下
重松 清

読みながら何だかボロボロと泣いてしまった。最初から最後まで重い話で泣ける話というわけではないんだけど、15歳の少年少女が背負うにはあまりにも重過ぎることばかりで、読んでて悲しくなった。

2人称で語られてて、主人公であるシュウジのことを「おまえ」と呼んで話を進めていく存在が誰なんだろうかと思い、最初は違和感を感じたんだけど段々それも気にならなくなるほど、話の世界に引き込まれてた。最後には誰の視点で書かれていたのかがわかるんだけど、この話には聖書の文が出てくるので神のような存在が語っているのかと途中思った。

優等生の兄が起こしたある事件をきっかけにして今まで平凡だった家庭がどんどん崩れていく話なんだけど、序盤のシュウジが中学生になるまでがやけにダラダラしているようにも感じた。だけどそれはエリやアカネや神父といった、これからシュウジと深くかかわっていく人たちとの出会いをきちんと書いていたんだとわかる。

下巻の中盤までが、話の展開的には外せない場所なんだとは思うんだけど、すごくやりすぎてる感じもする。そこを読みきれば最後まですらすらと読めるけれど、やっぱり最後までシュウジには苦しいことばかり起こっている。
この話のラストではシュウジは救われたことになるのか疑問にも思うんだけど、最後を読むとやっぱり救われたようにも感じる。

読み終わって思ったのはもっと神父が何か行動に出ていたら何か違う結末にもなったんじゃないかと思った。唯一神父が行動に出てるのは弟とシュウジを会わせることだけで、それが結果としてシュウジが嫌なほうに変わるきっかけになっているようにも思うので、悲しいなあとも思う。
| 2005.11.20 Sunday | 作家別・さ行(重松清) | comments(0) | - |