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 「逃亡くそたわけ」絲山秋子
評価:
絲山 秋子
中央公論新社
(2005-02-26)
Amazonランキング: 700985位

「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、退屈な精神病院からの脱走を決意。名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、彼のぼろぼろの車での逃亡が始まった。道中、幻聴に悩まされ、なごやんと衝突しながらも、車は福岡から、阿蘇、さらに南へ疾走する。

精神病院に入院していた花ちゃんとなごやんが逃亡し九州を南下していくロードムービー風の小説。無免許運転に始まり高級車にぶつけたりお酒盗んだりとかなりの犯罪をやっているのにあっけらかんとしているノリは躁でテンションがおかしくなっているんだなってのを感じられた。でも逃げているのに楽しそうでもあり、不思議な読後感のある話だった。

| 2017.05.27 Saturday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「忘れられたワルツ」絲山秋子
評価:
絲山 秋子
新潮社
¥ 1,404
(2013-04-26)
Amazonランキング: 159163位

地震計を見つめる旧友と過ごす、海辺の静かな一夜(「強震モニタ走馬燈」)、豪雪のハイウェイで出会った、オーロラを運ぶ女(「葬式とオーロラ」)、空に音符を投げる預言者が奏でる、未来のメロディー(「ニイタカヤマノボレ」)、母の間男を追って、ピアノ部屋から飛び出した姉の行方(「忘れられたワルツ」)、女装する老人と、彼を見下ろす神様の人知れぬ懊悩(「神と増田喜十郎」)他二篇。「今」を描き出す想像力の最先端七篇。
「恋愛雑用論」「強震モニタ走馬燈」「葬式とオーロラ」「ニイタカヤマノボレ」「NR」「忘れられたワルツ」「神と増田喜十郎」
久々の絲山作品。ドライな目線が心地よくもあり結構面白く読めた。震災ネタもちらほらあったり「NR」みたいにちょっとホラーっぽい話もあったり色んなテイストの話があった気がする。
| 2016.03.09 Wednesday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「不愉快な本の続編」絲山秋子
評価:
絲山 秋子
新潮社
¥ 1,260
(2011-09)
Amazonランキング: 177314位

女と暮らす東京を逃げ出した乾。新潟で人を好きになり、富山のジャコメッティと邂逅し、そして故郷・呉から見上げる、永遠の太陽―。不愉快な本を握りしめ彷徨する「異邦人」を描き、文学の極点へ挑む最新小説。
読みやすいけれど、上手く内容が飲み込めない不思議な読後感。相変わらずダメ男が主人公なのだけど、今回は登場する女の人もダメ女っぽい感じがした。
広島の呉出身の男が東京へ進学して、その後、新潟や富山と仕事を変えながら放浪していく様子を描写している。最後の文章とか絲山さんのセンスを感じて好きだったな。
| 2012.05.12 Saturday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「海の仙人」絲山秋子
評価:
絲山 秋子
新潮社
¥ 1,365
(2004-08-28)
Amazonランキング: 85895位

碧い海が美しい敦賀の街。ひっそり暮らす男のもとに神様がやって来た―。「ファンタジーか」「いかにも、俺様はファンタジーだ」「何しに来た」「居候に来た、別に悪さはしない」心やさしい男と女と神様。話題の新鋭、初の長編。
宝くじを当てて、仕事を辞めてのんびりと仙人のように暮らす河野の元に、ファンタジーが現れて居候となる。河野の住む所へ遊びに来たかりんや、河野の元同僚である片桐たちと交流をしながらも、過去のトラウマから深く人と関わろうとは思わない。そんな河野の日々を静かに描写している。
よく分からない存在であるファンタジーがあっさりとこの世界観に溶け込んでいて、違和感なく読んでいる自分も何だか不思議な気分になった。最後の文章が意味深で気になる。片桐は一体どうなるんだ!それとも何も起こらないのかな。
| 2011.10.10 Monday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「末裔」絲山秋子
評価:
絲山 秋子
講談社
¥ 1,680
(2011-02-16)
Amazonランキング: 288029位

家族であることとはいったい何なのか。父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出。懐かしさが胸にしみる著者初の長篇家族小説。
家と人についての物語。ある日、家の鍵穴が消えてしまったせいで、家に入る事が出来なくなってしまった省三が、困っている時に声をかけてきた乙という人物の助言に従い、自宅を離れてビジネスホテルや、親戚の家を転々としながら自分の家の事や家族との繋がりについて考えていく。
ちょっと不思議な要素あり、ユーモアありで面白く読めた。先祖から、下の代になるにつれて、人間は増えているけれど、自分からさかのぼってみれば、先祖の方が人数が多いとか、省三の子供が孫を産まなかったらそこで人は途絶えてしまう、と感じるシーンは印象に残った。自分たちもまた、過去から繋がっている一族の末裔なのかも、と思ったりした。
最後の桜田ミミの結婚相手のくだりは省三と一緒にびっくりした。また新しい人と人が繋がって、未来に繋がるのかもと思える良い終わり方だと思う。
| 2011.08.05 Friday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「妻の超然」絲山秋子
評価:
絲山 秋子
新潮社
¥ 1,470
(2010-09)
Amazonランキング: 96737位

文学がなんであったとしても、化け物だったとしても、おまえは超然とするほかないではないか。「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」を収録した異色の三部作。
「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」

超然と言いつつも、どこかそうなりきれていない感じのする人たちの物語。超然としていようとする事で、逆に自分の孤独や寂しさを浮き彫りにしているかのような印象を受けた。表題作が一番好きだったかなあ。何だかんだで夫の事好きなんじゃんと思った。
| 2011.05.02 Monday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「絲的炊事記 豚キムチにジンクスはあるのか」絲山秋子
真冬に冷やし中華に挑戦して惨敗し、締切と格闘しながら、満腹になれる丼を五連発で作る。さらにはあまり食べないエスニック料理の食材を集めて悪戦苦闘、そしてオリジナルの豚キムチに舌鼓を打つ。群馬県高崎市在住、一人暮らしの著者による試作に試作を重ねた毎日。時に切なく時に笑える傑作料理エッセイ。
絲山秋子の料理エッセイ。私は、料理が全然出来ないので男前で豪快ながらも自分でアレンジして料理を作る絲山さんがすごいなあと感じた。相変わらずの群馬ネタも豊富で楽しかった。まさか、ゴロピカリの話題を見るとは思わなかったです。
| 2011.04.29 Friday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ラジ&ピース」絲山秋子
評価:
絲山 秋子
講談社
¥ 1,365
(2008-07-31)

当てのない漂流の果てにたどり着く場所は? 他人とはうまくつきあえない、幼い頃から自分に自信がない女性がたどり着いたのは、北関東の町。ラジオの電波を通じて感じる見えない人々の温度。最新小説。
「ラジ&ピース」「うつくすま ふぐすま」の2編。

「ラジ&ピース」は、仙台のラジオ局から群馬のJOSHU-FMというラジオ局に勤める事になった野枝の話。他人と交流するのが苦手で、進んで親しい関係を作ろうとしない野枝だけど、ラジオ局で番組をしている時だけは楽しいと思っている。ある時、野枝の番組「ラジ&ピース」によくメールをしてくるヘビーリスナーの男と一緒に出かけるようになる。自分が嫌いで閉じていた野枝が飲み屋で会った沢音やヘビーリスナーの恐妻センターとの交流で、自分の心をちょっとずつだけど、開いていく緩やかだけどあたたかいストーリーだった。
群馬に住んでいる自分としてはこの話は群馬ネタがたくさんあって、そういう意味でも非常に楽しかった。沢音と野枝が再会するビブレの地下のHMVと無印良品の描写とか、恐妻センターと野枝がはじめて会ったときに恐妻センターが野枝に渡した上毛カルタとか、分かるのでにやにやしちゃいました。

「うつくすま ふぐすま」は中野香奈という回文の名前を持つ2人の女性の交流の話。すごく短くて、これといった動きもないんだけど、彼氏と別れた中野香奈の、別れる前はエネルギーを間違った方向に使っているけど別れたらエネルギーは自分の事だけに全部前向きに使えるという考えが印象に残った。
| 2009.12.13 Sunday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「絲的サバイバル」絲山秋子
評価:
絲山 秋子
講談社
¥ 1,470
(2009-03-27)

今度の「絲的」はアウトドア。40歳の挑戦 品川ナンバーのスポーツカーで、「1月1回1人キャンプ」の目標を掲げ、野外で過ごす作家の発見とタタカイの記録。『絲的メイソウ』に続く、エッセイ集。
絲的サバイバルとだけあり、このエッセイでは絲山さんが毎月キャンプに行っています。キャンプのシーズンって8,9月ぐらいまでですが、絲山さんは冬でもキャンプしててすごいですよ。私も一応ハイキングとかで山に行く機会もあるので、ちょこちょこキャンプ経験はあるけど、道具も本格的にそろえていて、一人でテントもはってるし、絲山さんはかっこいいなとやっぱり思った。

現在群馬に住んでいらっしゃるので、キャンプ場なんかも群馬が多めです。群馬に住む私としては楽しく読めたけど、他県の人からはちょっと物足りないかもしれない。
あと、キャンプといってもキャンプ場だけでなく、東京の講談社でキャンプとか、人んちの庭でキャンプとかいうのもあってなかなか面白い発想だと思う。

各章の文章も絲山さんと絲山さんの対談形式とか、純文学風とかいろいろあって飽きない感じ。ちょっとした心霊体験のエピソードは場所が場所だけに読んでて怖くなりました。 
| 2009.09.02 Wednesday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「ばかもの」絲山秋子
評価:
絲山 秋子
新潮社
¥ 1,365
(2008-09)

気ままな大学生と、強気な年上の女。かつての無邪気な恋人たちは、気づけばそれぞれに、取り返しのつかない喪失の中にいた。すべてを失い、行き場をなくした二人が見つけた、ふるえるような愛。生きること、愛することの、激しい痛み。そして官能的なまでの喜び―。絶望の果てに響く、愛しい愚か者たちの声を鮮烈に描き出す、待望の恋愛長篇。
絲山さんは、結構ダメ男を作品で描いているけれど、今度はアル中に溺れる男が主人公です。そして恋愛小説でもある。結構、破滅的な話だけど終盤になるにつれ、片品の風景と共に2人の愛情みたいなのが頭に浮かんでくるようで私は好きでした。私が群馬県民なのも贔屓ポイントですが。笑

年上の額子に溺れる大学生のヒデの話が第1章。いきなり濃密なエロ描写でどうしようかと思ったら、2章でヒデはものすごい捨てられかたをされ、やがて社会人になった彼は酒ばかり飲むようになり、アルコール依存症になっていく。
この、落っこちていくまでがあっという間でしたね。恋人も友人も失った彼はアル中を治し、ラーメン屋でバイトをしながら社会復帰していく。そして、額子の母親に額子の現在の話を聞き、額子のいる片品まで会いに行く。片品で2人が見る吹割の滝がなんとも印象的。吹割の滝の様子の描写が遠回りをしても再び出会った額子とヒデのようです。私も見にいきたくなっちゃいました。
| 2009.07.06 Monday | 作家別・あ行(絲山秋子) | comments(0) | trackbacks(0) |
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