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 「64」横山秀夫
評価:
横山 秀夫
文藝春秋
¥ 1,995
(2012-10-26)
Amazonランキング: 1177位

警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の仕事です。神の手は持っていない。それでも誇りは持っている。一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。D県警は最大の危機に瀕する。警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある。
分厚くて読み切れるかなと最初は不安だったけど、話にノってくるとどんどん読み進める事が出来た。その辺りはさすが横山さん。しかし、同じ警察なのにギスギスしていたり、板挟みになっている三上は辛そうで読んでいて気持ちの良いものではなかったかな。
終盤になってからの怒涛の展開には先が気になってページをめくる手が止まらなかった。決してすっきり終わったわけではないのに、それなりに爽快感があるのが何だか不思議だった。
しかし三上の娘のあゆみは結局どうなっているのかが明かされないまま終わってしまったのは少し消化不良だった。
| 2013.12.23 Monday | 作家別・や行(横山秀夫) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「クライマーズ・ハイ」横山秀夫
クライマーズ・ハイ (文春文庫)
クライマーズ・ハイ (文春文庫)
横山 秀夫

1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは――。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。
★★★★
御巣鷹山で実際に起こった日航機の事故を題材にして、奔走する新聞記者・悠木の物語。事故が起こる次の日に友人の安西と衝立山に登る予定だったが、事故が起こったために行けなくなってしまった。一緒に行く予定だった安西も何故か待ち合わせ場所には向かわなかったらしく、別の場所で倒れているところを病院に運ばれていた。

全権デスクとして、上と下に挟まれ、常に選択を強いられる悠木や、新聞社の張り詰めた緊張感を感じたり、それから安西に何が起こっていたのかを探るミステリーとしてもどっちでも楽しめた。

舞台が群馬なので、私はそういうところでも楽しめました。
悲惨な事故であるけれども、それを直接の描写ではなく、悠木たちと同じ現場に行っていない人たちと同じ立場で感じ取る事が出来る。これがまた結構リアルな感じがした。これは横山さんのなせる技だなあと思う。

ところどころに、安西の息子と17年後、衝立山に登るエピソードが入っている。これの入れ方が上手いなあとも思う。過去と現在を行き来しながらすべてのエピソードが繋がる。悠木と息子・淳の話には少し感動してしまいました。悠木さん、よかったねえと思わず言いたくなりました。
| 2008.07.26 Saturday | 作家別・や行(横山秀夫) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「出口のない海」横山秀夫
出口のない海 (講談社文庫)
出口のない海 (講談社文庫)
横山 秀夫

人間魚雷「回天」。発射と同時に死を約束される極秘作戦が、第二次世界大戦の終戦前に展開されていた。ヒジの故障のために、期待された大学野球を棒に振った甲子園優勝投手・並木浩二は、なぜ、みずから回天への搭乗を決意したのか。命の重みとは、青春の哀しみとは――。ベストセラー作家が描く戦争青春小説。
去年映画を観に行ったりしたんですけど、やっと原作本も読んでみました。この本で知るまで回天についてはまったく知らなかった。
回天というのは人間魚雷の事。狭い魚雷に人が乗って敵艦に向かって突っ込むという特攻。

元・甲子園の優勝投手である並木は自ら回天に乗ることを決める。彼らはたった一回、それも確実に自分が死ぬ攻撃のために訓練をする。家族や恋人、大切な人に本当のことを何も言えずに死んでいく。
普通に泣きました。読んでてどんどん涙が出てきた。
特に並木が潜水艦に乗る前に最後に実家に帰るシーンは泣かずには読めなかった。

でも、並木は回天に乗るという自分が死に向かっている状況でも夢を追う。それは魔球を投げること。並木は魔球を完成させて、そして死んでいく。その並木の死も、敵艦にぶつかって死ぬのではないのが、またなんともいえない。並木は誰も殺すことなく死んでいった。

読み終わった後、泣きながらもこうした事実や出来事を忘れてはならないのだなと思った。
| 2007.08.17 Friday | 作家別・や行(横山秀夫) | comments(0) | trackbacks(0) |