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 「俺俺」星野智幸
評価:
星野 智幸
新潮社
¥ 1,680
(2010-06)
Amazonランキング: 16262位

マクドナルで隣り合わせた男の携帯電話を手に入れてしまった俺は、なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった。そして俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺でない俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎてもう何が何だかわからない。電源オフだ、オフ。壊ちまうす。増殖していく俺に耐えきれず右往左往する俺同士はやがて―。孤独と絶望に満ちたこの時代に、人間が信頼し合うとはどういうことか、読む者に問いかける問題作。
読んでいて頭が混乱するような話だった。ある日他人の携帯を拾い、俺俺詐欺をしてしまった主人公がいつの間にか詐欺をした相手の子供である「俺」になってしまう。職場でもいつの間にか別の名前になっていても本人も周りも当たり前のように過ごしている。ある時、自分たちは同じであるという事に気付いた俺たちは集まって話をするようになるんだけど、そこでの自分をオフにする時間が必要だけど俺に会っている時は、自分であるから気を回さなくても良いみたいな描写は何か分かるなと思った。でも俺が自分であるという事は気楽であると同時に、自分の嫌な部分をダイレクトに見る事でもあるのだと、俺の崩壊ぶりを見て思ったなあ。
しかしテーマみたいなのは分かるようで分かりにくい。ネットとかでも自分の生活とかをさらけ出しすぎている事への警鐘的なものでもあるのかなと思ったり。
挿画の石田徹也の無気力な顔した同じような人物の絵ってこの作品に見事に合っているなと思った。どことなく不思議な、そして不気味でもある感じ。
| 2013.03.18 Monday | 作家別・は行(星野智幸) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「目覚めよと人魚は歌う」星野智幸
目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)
目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)
星野 智幸

大きな目は少し緑がかって睫毛が長く肌は薄いシナモン色をした日系ペルー人の青年ヒヨヒトは、暴走族との乱闘事件に巻き込まれ伊豆高原の家に逃げ込んだ。そこでは恋人との夢のような想い出に生きる女・糖子が疑似家族を作って暮らしていた。自分の居場所が見つからないふたりが出逢い触れ合った数日間を、サルサのリズムにのせて濃密に鮮やかに艶かしく描く。三島由紀夫賞受賞作。
★★★

む、難しいなあ。短いので割りとすぐに読めました。でも難しい。
暴走族との間に事件を起こしてしまったため、恋人のあなと二人で逃げてきた日曜人。
彼らの逃げた先には、恋人との思い出、幻に生きる糖子とその息子の密生、丸越という男性が疑似家族として暮らしていた。
これはヒヨヒトとあなが逃げてきたほんの数日間の出来事。

この家での生活自体が何だか幻のようで、つかみどころがなかった気がする。
幻として生きる疑似家族の中に現実を生きるヒヨヒトとあなが入ったらどうなるのかっていう話だったのかなあ。
現実はやっぱり現実に帰っていくし、幻として生きるものはやっぱり変わることなくそのままなんだなと思った。
| 2008.06.21 Saturday | 作家別・は行(星野智幸) | comments(0) | trackbacks(0) |
 「植物診断室」星野智幸
植物診断室
植物診断室
星野 智幸

夫でもなく、父親でもない“大人の男性”の役割とは――
散歩が生き甲斐の独身男・寛樹は、ある女性に「夫でもなく、父親でもない役割」を求められた。家族や婚姻制度に一石を投じる問題作。
もう40を過ぎているけれど、恋人もいない独身。しかしなぜか小さな子供には好かれる水鳥寛樹。義弟の話から、彼の同僚である女性の子供と月に1,2回遊ぶことになる。そこで、夫でも父親でもない新しい存在を模索していく。

最初にいきなり植物診断のシーンから始まって、オカルトのような奇妙な描写だったので、この先読んでいけるのか若干不安になりましたが大丈夫でした。普通におもしろかったです。
タイトルにもなっている植物診断というのは、自分が今植物でいうとどんな状態なのかを診て、本当の自分の状態に戻してくれるというものらしいです。

独身40男ってどんな男なのかと思ってましたが、散歩(というより放浪?)が好きで何故か子供には好かれる、変わり者といえばそうなんだろうけど、子供に妙に好かれるおっさんというのもなんかよかったです。話に出てくる3人の子供たちもみんなかわいいし。
寛樹は周りから結婚しないのかと問われるたびに自分がどういう存在であるのか分からなくなっていて、だからこそ、自分は自分でしかないという事を示してくれる植物診断にのめりこんでいた。最後の幹子の言葉で、自分の位置はどこなのか、自分は何であるのかについての答えが出てよかったと思う。
| 2007.07.19 Thursday | 作家別・は行(星野智幸) | comments(4) | trackbacks(1) |